ファイバーマキシングとは?海外SNSで広がる新しい腸活トレンド
近年、海外のSNSを中心に「ファイバーマキシング(fiber maxxing)」という言葉が注目されています。
直訳すると「食物繊維を最大化する」食生活。腸内環境を整えたい、血糖値を安定させたい、ダイエットを無理なく続けたい。
そんな目的から、食物繊維の摂取量を意識的に増やす食事法が一部で広がっています。
食物繊維は本当に足りていない?
実際、食物繊維は現代人に最も不足している栄養素のひとつです。健康意識の高まりとともに、食物繊維を増やすこと自体は間違いではありません。
ただし、ファイバーマキシングのように急激に摂取量を増やすことは、かえって体調不良を招く可能性があります。
厚生労働省が定める日本人の食物繊維摂取目標量は、
●女性:18g以上
●男性:21g以上
しかし国民健康・栄養調査では、多くの年代で平均摂取量がこの目標を下回り、慢性的な不足が続いています。
特に若年層では、野菜や豆類、雑穀が食卓から減った結果、腸が本来求める量の食物繊維が十分に届いていないのが現状です。
水溶性と不溶性、食物繊維の役割の違い
食物繊維は大きく分けて「水溶性」と「不溶性」の2種類があり、それぞれ異なる働きを持っています。
水溶性食物繊維は、腸内細菌のエサとなって発酵を促し、短鎖脂肪酸を生み出します。これにより、腸内の炎症を抑えたり、血糖値の急上昇を穏やかにしたりする働きが期待されます。
一方、不溶性食物繊維は水分を吸収して便のかさを増やし、腸のぜん動運動をサポートします。
ファイバーマキシングでは、この2種類を意識しながら食物繊維を多く摂ることが推奨されています。
オートミール、全粒穀物、フルーツ、きのこ、海藻類などを組み合わせ、毎食で繊維量を確保する方法が代表的です。
SNSでは「便通が整った」「肌の調子が良くなった」「食後の眠気が減った」といった声も見られます。
食物繊維を急に増やすと、なぜ不調が起きるのか
その一方で、「お腹が張る」「ガスが増える」「腹痛が続く」といった不調を訴える人も少なくありません。
これは、急激な食物繊維の増加に腸が追いつかず、腸内細菌のバランスが一時的に乱れることが原因だと考えられています。
特に不溶性食物繊維を過剰に摂取すると、便が硬くなったり、逆に詰まりやすくなるケースもあります。腸内環境を整えるつもりが、かえって負担をかけてしまうこともあるのです。
腸にやさしく食物繊維を増やすための小さなステップ
食物繊維は「不足しても問題、摂りすぎても問題」な栄養素。体は徐々に変化へ適応するため、摂取量を増やすときは段階を踏むことが大切です。
たとえば、これまで1日10g程度しか摂っていなかった人が、突然25g以上を目指すのは腸にとって大きな負担になります。
忙しい現代人は、朝食を抜く、単品メニューが多い、食事時間が短いといった生活習慣から、腸の働きそのものが弱っていることも少なくありません。
まずは、次のような小さな工夫から始めてみましょう。
● 野菜を「プラス1皿」
● 白米に大麦や雑穀を「混ぜるだけ」
● みそ汁にきのこや海藻を「ひとつ加える」
● おやつを「果物やナッツ系」に少し変える
腸は、トレーニングが必要な臓器です。
ゆっくり慣らしていくことで、不調を感じにくく、自然と食物繊維の摂取量を増やすことができます。
腸が本当に喜ぶのは「量」より「種類」
実は、腸がよろこぶのは食物繊維の量よりも「種類の多さ」だと言われています。
同じ食物繊維でも、腸内での働き方はまったく異なります。
発酵を促す水溶性食物繊維、便の形成を助ける不溶性食物繊維、加熱や冷却で性質が変わるレジスタントスターチ。これらをバランスよく取り入れることで、腸内には多様な細菌が共存しやすい環境が整っていきます。
まるで森の生態系のように、腸内細菌同士が支え合い、全体の健康を底上げしてくれるのです。
日本の食文化は、実は“腸活の宝庫”
こうした視点で見ると、日本の食文化は本来、腸にとって理想的な多様性の宝庫です。
海藻のヌメリに含まれる水溶性食物繊維、きのこのβグルカン、豆類のオリゴ糖、発酵食品が持つ微生物の力、根菜の不溶性食物繊維。どれも昔から自然と食卓に並んできた「腸がよろこぶ食材」ばかり。
ファイバーマキシングという流行を追って特別な食材を買い足さなくても、私たちの身近な食生活にはすでに多彩な食物繊維が揃っています。
味噌汁に具材をひとつ追加する、白米に少量の雑穀を混ぜる、副菜を根菜に変える。そんな小さな積み重ねが、腸内環境をゆっくりと育てます。
腸にも個性がある。だから「自分のペース」がいちばん大切
腸内環境には個人差があります。同じものを食べても、人によってお腹の反応が違うのは、腸内細菌の構成が一人ひとり異なるからです。
だからこそ、「流行しているから大量に摂る」という一方向のアプローチではなく、自分の体調や生活リズムに合わせて少しずつ調整することが重要です。
腸は、急激な変化よりも“ゆっくり慣れる”ことを好む臓器。無理のないペースで続けることが、腸と長く付き合うための近道です。
ファイバーマキシングという言葉は、今後も注目されていくでしょう。
ただ、その本質は「食物繊維を大量に摂ること」ではありません。日々の食事の中で、腸にとって心地よいリズムを取り戻すこと。食物繊維との上手な距離感を育てることこそが、本当に目指すべき姿なのだと思います。
「食事だけで食物繊維の種類を揃えるのが難しい」
「忙しい日でも、腸にやさしい選択をしたい」
ヨモギや月桃、熊笹、スピルリナといったスーパーフード由来の食物繊維を含み、甘さ控えめで食事の延長として取り入れやすい設計。
腸に負担をかけにくく、“少しずつ、続ける腸活”をサポートします。
流行に振り回されず、自分のペースで腸を整えたい方は、
ぜひ日々の食事にグリーンモンスターをプラスしてみてください。
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栄養士・食育指導士・食の6次産業化プロデューサーlevel4
石原綾子
ヘルスケア分野での栄養指導、アグリビジネスのプロフェッショナル。
ミスワールド日本候補生に向けた講演会など、美や健康に特化した分野をフィールドに様々な活動を行なっている。
「食を通して心と身体を豊かにし、人と地域がつながる生き生きとした社会を実現する」を理念に掲げ2013年に、株式会社アイ・フィールドを設立、代表を務める。
各地域で野外レストランを開催する「DINING OUT」の食材TEAMや、ファッションブランドのプロジェクトに中心メンバーとして参画。
また、地域食材のPR、「健康」や「美容」に特化した商品開発プロデュース、ブランディング、コンセプト設計、食品衛生、販売促進プロモーション、研修企画運営等に携わっている。GRØNの商品開発では栄養面での監修を担当。消費者の健康に、より効果的に取り入れる方法を提案している。
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