植物性プロテインは鉛とカドミウムが危険？知っておきたい重金属の基礎知識 〜栄養士のColumn Vol.149
最近、「植物性プロテインに鉛やカドミウムが含まれている可能性がある」というニュースが注目されています。植物性＝安全と考えていた方にとっては、少しショッキングな話題かもしれません。
今回は、何が問題になっているのか、危険性の内容、なぜ植物性で起こりやすいのか、動物性プロテインの安全性、さらには賢い選び方までわかりやすく解説します。
植物性プロテインで「何」が問題なのか？
アメリカで行われた市販プロテインパウダーの調査では、植物由来のプロテインで「鉛・カドミウムが基準を上回る」あるいは「高めに検出された」ケースが少なくないと報告されています。
また、植物性プロテインはホエイ（乳清）より鉛の数値が高かったというデータもあります。
つまり「植物性＝完全に安全」というイメージに、思わぬ落とし穴がある可能性が指摘されているのです。
鉛・カドミウムは体にどんな影響を与える？
●鉛（Pb）
子どもでは発達・学習面の影響が懸念され、大人でも高血圧・腎機能・神経系に影響を与えることが知られています。
●カドミウム（Cd）
腎臓・骨・呼吸器系などに影響があり、国際機関では「発がん性あり」に分類されています。
ポイントは、“少量でも長期間摂り続けるとリスクが積み重なる”という点です。毎日飲むプロテインだからこそ、できるだけ低い検査値が安心材料になります。
なぜ植物性プロテインでリスクが出やすいのか？
植物性プロテインに重金属が混入しやすい理由には、次のような背景があります。
- 植物が土壌や水から鉛・カドミウムを吸収しやすい性質がある
- 原料の栽培環境（汚染された土壌、過去の農薬、工場排水など）によって含有量が左右される
- 加工・乾燥・粉末化の設備・配管・包装材の影響を受ける可能性がある
つまり、「原料が育つ環境」と「製造工程の管理レベル」の両方が、安全性を大きく左右するということです。
動物性プロテインは安全なの？
では「ホエイなど動物性なら安心？」といえば、必ずしもそうではありません。調査では動物性プロテインからも鉛・カドミウムが検出された例があります。
重要なのは、植物性か動物性かではなく、どこで・どのように作られているか。
つまり、製品の検査データと管理体制の確認が決め手になります。
重金属の基準値の目安は？
プロテイン専用の明確な基準はありませんが、農産物一般の基準がひとつの参考になります。
- 鉛：1.0ppm以下
- カドミウム：0.4ppm以下（例：米）
植物由来の原料であることを考えると、この数値以下であれば安心ラインと考えられます。
実際、「0.2ppm以下」「不検出（ND）」を達成する植物性プロテインも存在しており、これらは非常に良好な数値です。
安心できるプロテインの選び方5つのポイント
① 重金属検査データの公開を確認する
鉛・カドミウムの具体的数値が見えるブランドを選びましょう。
② 数値が基準を大きく下回っているかチェック
鉛1.0ppm・カドミウム0.4ppmを参考に、それより十分低いものが安心です。
例：0.2ppm以下・ND（不検出） なら優秀。
③ 原料の産地や栽培環境を確認する
植物性なら特に、土壌や産地情報、農法の透明性の有無がポイント。
④ 第三者認証の有無を確認
NSF、USP、JHFA、GMP、ISO22000、FSSC22000などは、一定レベルの品質管理を示す目安になります。
⑤ 「補助として使う」意識を持つ
プロテインはあくまで不足分を補う存在。
魚・肉・豆などの食品を基本とした上で使うのが、健康的なバランスです。
特に注意したい人は？
妊娠中・授乳中・成長期の子どもは重金属の影響を受けやすいので、検査データが明確な製品を選ぶか、専門家に相談するようにしましょう。
信頼できる数値と情報を見て選ぶことが安心への近道
今回のテーマからわかるのは、「どんな原料を使い、どれだけ低く抑えられており、どれだけ丁寧に管理されているか」が安全を左右するということ。
国内でも「0.2ppm以下」「不検出」を達成する植物性プロテインはあり、過度に恐れる必要はありません。むしろ、情報を正しく見て、自分に合うものを選ぶことが大切です。
毎日飲むものだからこそ、少しだけ立ち止まって数値をチェックしてみましょう。
あなたの“安心”は、選び方ひとつでぐっと高まります。
GRØNでは全ロットで重金属検査を実施しており、その結果、すべての原料が安心ラインを大きく下回っています。皆さまが安心して飲み続けられるよう、GRØNはこれからも丁寧に、正直にものづくりを続けていきます。
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栄養士・食育指導士・食の6次産業化プロデューサーlevel４
石原綾子
ヘルスケア分野での栄養指導、アグリビジネスのプロフェッショナル。
ミスワールド日本候補生に向けた講演会など、美や健康に特化した分野をフィールドに様々な活動を行なっている。
「食を通して心と身体を豊かにし、人と地域がつながる生き生きとした社会を実現する」を理念に掲げ2013年に、株式会社アイ・フィールドを設立、代表を務める。
各地域で野外レストランを開催する「DINING OUT」の食材TEAMや、ファッションブランドのプロジェクトに中心メンバーとして参画。
また、地域食材のPR、「健康」や「美容」に特化した商品開発プロデュース、ブランディング、コンセプト設計、食品衛生、販売促進プロモーション、研修企画運営等に携わっている。GRØNの商品開発では栄養面での監修を担当。消費者の健康に、より効果的に取り入れる方法を提案している。
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