人工甘味料のメリットとデメリット 〜栄養士のColumn Vol.119
前回のコラムでは、人が感じる甘味や甘味料の種類についてご紹介しました。
> 砂糖は身体に悪い?白砂糖に代わる甘味料 栄養士のColumnVol.118
甘味料の中でも砂糖のような自然由来の甘味と異なり、人工的に合成された甘味料を「人工甘味料」と言います。
日本に流通している食品に多く使用される「人工甘味料」のメリットとデメリットを踏まえた上で、その種類やどのように糖分を摂取した方がいいのか考えてみたいと思います。
※消費者庁は、2020年に食品表示基準の改正を行いました。
2年間の猶予期間が設けられ、2024年4月からは『食品添加物の不使用表示に関するガイドライン』に則った表示が必要です。 『食品添加物の不使用表示に関するガイドライン』については下記より確認できます。 |
人工甘味料に関するWHOの見解
砂糖や自然の甘味料に代わる低カロリー・カロリーゼロの甘味料として使用される「人工甘味料」。
甘党の方には、甘いものを我慢せずに済むという魅力的な選択肢です。
しかし、その一方で、人工甘味料の安全性や健康への影響について、様々な意見や情報が飛び交っています。
そのきっかけの一つが、2023年5月にWHOから公表された「人工甘味料の使用に関するガイドライン」です。
>日本WHO協会 https://japan-who.or.jp/news-releases/2305-20/
ガイドラインでは、人工甘味料の健康影響に関する研究成果と使用についての提言がされました。
・人工甘味料が体重管理に役立つという証拠はない
・アスパルテームは、発がん性を高める など
ただしこれは一般の方向けのものであり、普通に使用されている量では安全性に大きな懸念はないとしています。
また糖尿病で治療中の方については、人工甘味料は血糖値やインスリン分泌に直接の影響を与えないため、食事療法において人工甘味料を使用することは有用としています。
人工甘味料のメリット、デメリット
人工甘味料は潜在的な影響が報告されていますが、まだ確定的なものではなく、さらなる検証が必要です。
そこを踏まえた上で、人工甘味料のメリット、デメリットを見てみましょう。
▼メリット
▪砂糖に比べて圧倒的にカロリーが低い
▪糖尿病の方や、血糖値が気になる方にとっては人工甘味料は有用
▪砂糖のように歯垢の原因となることが少ないため、虫歯予防に役立つ
▪様々な食品に利用できる: 清涼飲料水、お菓子、ヨーグルトなど、幅広い食品に利用される
▼デメリット
▪長期的に摂取することで、甘味に対する感受性が変化し、より強い甘みを欲する可能性がある
▪人工甘味料の摂取は、肥満や糖尿病、代謝異常などの関連性がある
▪人工甘味料が腸内細菌のバランスを乱し、健康に悪影響を及ぼす可能性がある
人工甘味料の種類
まずは、人工甘味料が使用されている食品の原料例をご覧ください。 炭酸飲料(例:ゼロカロリー飲料)
原材料:水、二酸化炭素、酸味料、香料、甘味料(スクラロース、アセスルファムカリウム)、保存料 |
このように複数の甘味料が合わさって使用される食品が多くあります。
人工甘味料は大きく2種類に分けられます。
*合成甘味料:糖アルコールよりもさらに低カロリーで、血糖値の上昇を抑える効果がある。
例)アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウムなど。
*糖アルコール:砂糖と比べてカロリーが低く、虫歯になりにくいのが特徴。
例)エリスリトール、キシリトール、マルチトールなど。
合成甘味料
*アスパルテーム
・アスパルテーム、L-アスパルチル-L-フェニルアラニンメチルエステル
非常に甘く、低カロリーで血糖値に影響を与えないため、多くの食品や飲料で使用されています。
アスパルテームは砂糖の約200倍の甘さがあり、非常に高い甘味を持ちながら、ほとんどカロリーがありません。
加熱には安定していますが、長期間の高温には耐えられません。
アスパルテームはアスパラギン酸とフェニルアラニンから合成されています。
*スクラロース
・スクラロース、スースラロース
非常に高い甘味を持ちながらもカロリーがほとんどなく、血糖値に影響を与えないため、多くの食品や飲料で使用されています。
スクラロースはほとんどカロリーがありません。
甘味は砂糖の約600倍強ですが、消化されずに体内でほとんど吸収されないため、カロリーとして計上されません。
高温にも安定しており、料理や製菓にも使用することができます。
砂糖に近い自然な甘さを持ち、ほとんどが体外で排泄されるため、甘い味を楽しむことができます。
*アセスルファムカリウム
・アセスルファムカリウム、アセスルファムK
アセスルファムカリウムはほとんどカロリーがありません。
砂糖の約200倍の甘さがあり、高温でも安定しており、料理や製菓にも使用することができます。化学的に合成されたポタシウム塩で、砂糖の代替として使用されます。
糖アルコール
*エリスリトール
・エリスリトール、エリスリトールエステル
自然界に存在する糖アルコールの一種で、低カロリーの甘味料として広く使用されています。
1グラムあたり0.24キロカロリーしかなく、砂糖の約70%の甘さを持ちます。
果物や発酵食品に自然に存在し、工業的にはグルコースを発酵させることで製造されます。
血糖値やインスリンレベルに影響を与えないため、糖尿病患者や血糖値管理が必要な人に適しています。
また、虫歯の原因となる細菌に利用されないため、歯の健康を保つのに役立ちます。
*キシリトール
・キシリトール、キシリトールエステル
糖アルコールの一種で、低カロリーの天然甘味料として広く使用されています。主に虫歯予防効果で知られており、多くのガムや歯磨き粉などに使われています。
1グラムあたり約2.4キロカロリーで、砂糖の約60-70%のカロリーしかありません。
果物や野菜(例えば、ベリー類、トウモロコシの芯、樹木の樹液など)に自然に存在します。虫歯を引き起こす細菌の活動を抑える効果があり、歯の健康を保つのに役立ちます。
*マルチトール
・マルチトール、マルチトールエステル
糖アルコールの一種で、甘味料として広く使用されています。
砂糖に似た甘さと食感を持ちながらも、カロリーを抑えた代替甘味料として人気があります。
1グラムあたり約2.1キロカロリーで、砂糖の約半分のカロリーです。
デンプンを加水分解して得られるマルトース(麦芽糖)を水素化することで作られます。
砂糖に近い甘さ(約75-90%の甘味度)と物理的特性を持ち、ベーキングや製菓に適しています。
このように、人工甘味料は様々な食品で利用されていますので、食品裏ラベルを確認してチェックしてみましょう。
まとめ:どのように糖分を摂取すべき?
大前提ですが、日本国内で使用されている人工甘味料は、国によって安全性が確認されており、健康被害が出ないよう使用基準が定められています。
しかし基本的には、天然の食品とそれから作られる自然な甘味を摂取することをおすすめします。
WHOでは、フルーツや加工を最小限にとどめた砂糖無添加の食品や飲料など、他の栄養素も一緒にとれる天然の甘さがあるもので代用するよう勧めています。
また、加工食品を買う場合は、必ず食品裏の表示ラベルの原材料名欄を見ることを習慣にしてください。
表示ラベルは添加物に占める重量の割合の高いものから順に表示しますので、砂糖や甘味料が先頭に近い表記であればあるほど主要成分ということになります。
人工甘味料は、あくまでも砂糖の代替品です。
加工食品を選ぶ際は、成分表示をしっかりと確認して、様々な情報を参考にしながら、ご自身の食生活に合った選択をしてください。
グロンの植物性プロテインブレンドは、甘味に黒糖やてんさい糖、甘酒を使用しています。
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栄養士・食育指導士・食の6次産業化プロデューサーlevel4
石原綾子
ヘルスケア分野での栄養指導、アグリビジネスのプロフェッショナル。 ミスワールド日本候補生に向けた講演会など、美や健康に特化した分野をフィールドに様々な活動を行なっている。
「食を通して心と身体を豊かにし、人と地域がつながる生き生きとした社会を実現する」を理念に掲げ2013年に、株式会社アイ・フィールドを設立、代表を務める。
各地域で野外レストランを開催する「DINING OUT」の食材TEAMや、ファッションブランドのプロジェクトに中心メンバーとして参画。
また、地域食材のPR、「健康」や「美容」に特化した商品開発プロデュース、ブランディング、コンセプト設計、食品衛生、販売促進プロモーション、研修企画運営等に携わっている。GRØNの商品開発では栄養面での監修を担当。消費者の健康に、より効果的に取り入れる方法を提案している。
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