体づくりで知っておきたい「クレアチン」のこと〜栄養士のColumn Vol.167
「筋肉のために、タンパク質を摂る」。
今では、プロテインを飲んだり、肉や魚、大豆製品を意識して食べたりすることも、身近な健康習慣のひとつになりました。
タンパク質は、筋肉をはじめ、皮膚や髪、酵素など、体をつくるために欠かせない栄養素です。
一方で、体づくりを考えるなら、「何をつくるか」だけでなく、「その体がどう動くか」にも目を向けたいところ。
そこで、タンパク質とあわせて知っておきたいのが「クレアチン」です。
クレアチンというと、アスリートやボディビルダーが摂るもの、というイメージがあるかもしれません。
しかし、クレアチンはもともと私たちの体内にも存在し、筋肉だけでなく脳などでもエネルギー代謝に関わっています。
近年では、筋力や運動パフォーマンスに加えて、加齢に伴う筋肉量の変化や認知機能との関係についても研究が進んでいます。
今回は、タンパク質とは異なる役割を持つクレアチンについて、その働きや食生活との関係、摂取方法まで紹介します。

タンパク質は「体をつくる」、クレアチンは「エネルギー供給を支える」
タンパク質とクレアチンは、どちらも筋肉に関係する栄養素ですが、体内での役割は異なります。
タンパク質は、筋肉をはじめ、皮膚、髪、酵素、ホルモンなどをつくる材料となる栄養素です。
一方、クレアチンは筋肉そのものをつくる材料ではありません。細胞がすばやくエネルギーを利用するための仕組みに関わっています。
私たちが体を動かすとき、筋肉では「ATP(アデノシン三リン酸)」という物質がエネルギー源として使われます。ただし、筋肉に蓄えられているATPには限りがあります。
そこで重要になるのが、クレアチンからつくられる「クレアチンリン酸」です。
クレアチンリン酸は、ATPをすばやく再生するために利用されるため、短時間で大きな力を発揮する場面や、繰り返し力を発揮する運動に関わっています。
筋力トレーニングや短距離走など、瞬発的な力が求められる運動では、特にこのエネルギー供給システムが重要です。
つまり、タンパク質が「体をつくるための材料」だとすれば、クレアチンは「体がエネルギーを使う仕組みを支えるもの」。
役割は違いますが、どちらも体を動かし、健やかに過ごすために関わる栄養素です。

クレアチンは体内でつくられる。それでも食事から摂る意味とは?
クレアチンは、グリシン、アルギニン、メチオニンというアミノ酸を材料として、主に肝臓や腎臓などでつくられます。
体内で合成されたクレアチンや食事から摂取したクレアチンは、その多くが骨格筋に蓄えられ、一部は脳などでも利用されます。
「体内でつくれるなら、わざわざ食事から摂る必要はないのでは?」
そう思うかもしれません。
クレアチンは体内で合成できる一方、食事からも摂取できます。特に赤身の肉や魚などの動物性食品には比較的多く含まれています。
一方、野菜、果物、穀類、豆類などの植物性食品には、クレアチンはほとんど含まれていません。
そのため、肉や魚を食べないベジタリアンやヴィーガンなど、植物性食品を中心とした食生活では、食事から摂取するクレアチンの量は少なくなります。
もちろん、植物性の食生活には、食物繊維やビタミン、ミネラル、ポリフェノールなど、さまざまな栄養素を摂りやすいというメリットがあります。
だからこそ、「植物性だから何かが足りない」と考えるのではなく、自分の食生活ではどの栄養素を摂りにくいのかを知っておくことが大切です。
クレアチンも、そのひとつとして知っておきたい栄養素です。

筋力トレーニングと組み合わせることで期待されること
クレアチンについて、現在もっとも研究が蓄積されているのが、筋力トレーニングや短時間・高強度の運動との組み合わせです。
クレアチンを継続的に摂取すると、筋肉に蓄えられるクレアチン量を増やすことができます。
それによって、筋力トレーニングなどで高い強度の運動を繰り返す能力を支え、結果として筋力や除脂肪量の向上につながる可能性があります。
ここで大切なのは、クレアチンを摂るだけで筋肉が大きくなるわけではないということ。
クレアチンは、あくまで運動時のエネルギー供給を支える栄養素です。
十分なタンパク質を摂り、適切な運動を行い、休養をとる。
そのうえでクレアチンを取り入れることで、体づくりを栄養面からサポートするという考え方が基本になります。

クレアチンは筋肉だけでなく、脳でも使われている
クレアチンが関わるのは、筋肉だけではありません。
脳もまた、常に多くのエネルギーを必要とする器官です。
考える、記憶する、判断する。私たちが日常的に行っているこうした活動にも、脳ではエネルギーが使われています。
そのため、脳にもクレアチンとクレアチンリン酸によるエネルギー代謝の仕組みが存在します。
近年では、クレアチンの摂取と認知機能との関係についても研究されています。
一部の研究では、記憶など特定の認知機能へのプラスの影響が示されています。特に、食事からのクレアチン摂取量が少ない人や、高齢者、睡眠不足などによって脳のエネルギー需要が高まっている状況などが研究対象となっています。
ただし、「クレアチンを摂れば記憶力や集中力が高まる」と一般化できる段階ではありません。
研究によって結果にはばらつきがあり、認知機能への影響については、今後さらに質の高い研究が必要とされています。
筋肉への作用に比べると、まだ研究途上の領域。
だからこそ、期待を持ちながらも、分かっていることと、これから分かっていくことを分けて考えることが大切です。

年齢を重ねても動ける体を考える
年齢を重ねるにつれて、筋肉量や筋力は少しずつ変化していきます。
筋肉は、スポーツやボディメイクのためだけに必要なものではありません。
立ち上がる。
歩く。
階段を上る。
買い物に行く。
日々の何気ない動作を、自分の力で続けるためにも筋肉は欠かせません。
中高年者や高齢者を対象とした研究では、クレアチンと筋力トレーニングを組み合わせることで、筋肉量や筋力の維持・向上につながる可能性が検討されています。
ただし、年齢を重ねた体を支えるのはクレアチンだけではありません。
十分なエネルギーとタンパク質を摂ること。
無理なく続けられる運動をすること。
睡眠や休養を確保すること。
こうした基本的な生活習慣が土台にあり、そのうえで必要に応じてクレアチンなどの栄養素を取り入れる。
それが、長く動ける体を考えるうえでの自然なアプローチです。

選ぶなら「クレアチンモノハイドレート」が基本
クレアチンのサプリメントにはいくつかの種類がありますが、最も研究が多いのは「クレアチンモノハイドレート」です。
一般的な摂取方法としては、クレアチンモノハイドレートを1日3〜5g程度、継続して摂る方法があります。
最初に多めの量を摂取して筋肉内のクレアチン量を早く高める「ローディング」という方法もありますが、必ずしも必要ではありません。
少量を毎日継続することでも、時間をかけて筋肉内のクレアチン貯蔵量を高めることができます。
また、摂取するタイミングについても、運動直前・直後にこだわりすぎる必要はありません。
大切なのは、無理なく継続できる習慣にすること。
プロテインやスムージー、日々の食事など、自分が続けやすいタイミングに取り入れるのもひとつの方法です。
なお、クレアチンを摂り始めると、筋肉内の水分量が増えることで体重が一時的に増加する場合があります。これは、必ずしも体脂肪が増えたことを意味するものではありません。
また、一度に大量に摂取すると、胃腸の不快感などが生じることがあります。適量を守り、自分の体調を見ながら取り入れましょう。
健康な成人では、推奨される量のクレアチンモノハイドレートは概ね安全性が確認されています。
ただし、腎臓などに持病がある場合、妊娠・授乳中の場合、治療中で薬を服用している場合などは、自己判断でサプリメントを始めず、医師や薬剤師などの専門家に相談することをおすすめします。

「つくる」と「動かす」。どちらも大切に
タンパク質は、体をつくるための大切な材料です。
一方、クレアチンは、筋肉などの細胞がすばやくエネルギーを利用するための仕組みに関わっています。
どちらか一方ですべてが整うわけではありません。
きちんと食べる。
適度に体を動かす。
しっかり休む。
そして、自分の食生活を知り、不足しやすい栄養素があれば必要に応じて補う。
植物性の食生活を選ぶ人にとって、クレアチンは必ずしも身近な栄養素ではないかもしれません。
だからこそ、「知らないから摂らない」のではなく、「知ったうえで、自分に必要かを考える」。
そんな視点を持つことが、これからのウェルネスには大切なのかもしれません。
体をつくるタンパク質と、エネルギー代謝を支えるクレアチン。
毎日を自分らしく動き続けるために、そんな栄養素の役割にも目を向けてみませんか。

毎日のタンパク質習慣を、もっと心地よく
クレアチンをはじめ、体を健やかに保つためには、まず毎日の食事から必要な栄養素をきちんと摂ることが基本です。
GRØNは、植物性の原料にこだわったプラントベースのプロテイン。
忙しい朝や、運動後の栄養補給、いつもの食事にもう少しタンパク質をプラスしたいときにも、無理なく取り入れられます。
「食べること」と「動くこと」。
その両方を大切にしながら、これからの自分の体をつくっていく。
毎日のタンパク質習慣に、GRØNを取り入れてみませんか?

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栄養士・食育指導士・食の6次産業化プロデューサーlevel4
石原綾子
ヘルスケア分野での栄養指導、アグリビジネスのプロフェッショナル。
ミスワールド日本候補生に向けた講演会など、美や健康に特化した分野をフィールドに様々な活動を行なっている。
「食を通して心と身体を豊かにし、人と地域がつながる生き生きとした社会を実現する」を理念に掲げ2013年に、株式会社アイ・フィールドを設立、代表を務める。
各地域で野外レストランを開催する「DINING OUT」の食材TEAMや、ファッションブランドのプロジェクトに中心メンバーとして参画。
また、地域食材のPR、「健康」や「美容」に特化した商品開発プロデュース、ブランディング、コンセプト設計、食品衛生、販売促進プロモーション、研修企画運営等に携わっている。GRØNの商品開発では栄養面での監修を担当。消費者の健康に、より効果的に取り入れる方法を提案している。
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