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朝鮮人参に学ぶ、根を育てるウェルネス 〜栄養士のColumn Vol.166

朝鮮人参に学ぶ、根を育てるウェルネス 〜栄養士のColumn Vol.166

私たちは日々、効率や成果、スピードを求められながら暮らしています。スマートフォンを開けば新しい情報が次々と入り、仕事も生活も絶えず変化し続ける時代です。そんな中で、改めて意識したいのが、日々の身体を支える「土台」です。

食事や睡眠、運動、呼吸といった習慣は、すぐに目に見える変化をもたらすものではありません。しかし、毎日の積み重ねが健やかなコンディションを支えています。
東洋では古くから、こうした身体の土台を養う考え方が大切にされてきました。
その代表的な植物のひとつが、朝鮮人参(オタネニンジン)です。

時間をかけて育つ、朝鮮人参

朝鮮人参の学名は「Panax ginseng」。属名の「Panax」は、ギリシャ語で「すべてを癒やす」という意味に由来し、英語の“panacea(万能薬)”にもつながる言葉です。ウコギ科の多年草で、夏には淡い花を咲かせ、やがて赤い実を結びますが古くから利用されてきたのは根の部分です。

栽培には長い年月がかかり、一般に収穫まで4〜6年ほど。病害や連作障害が起こりやすいため、日差しや水分、土壌の状態などを管理しながら育てられます。
朝鮮人参は、短期間で育つ植物ではありません。

時間をかけて根を育てるという特徴は、日々の健康づくりにも通じるものがあります。
目に見える結果だけを急ぐのではなく、食事や睡眠などの基本的な習慣を少しずつ整えていく。朝鮮人参は、そんな「土台を育てる」という考え方を象徴する植物ともいえます。

朝鮮人参に含まれる「ジンセノシド」

朝鮮人参の特徴的な成分として知られているのが、ジンセノシドです。
ジンセノシドは、朝鮮人参に含まれるサポニンの総称。現在では、疲労感や認知機能、免疫機能などとの関わりについて、さまざまな研究が行われています。

また、朝鮮人参は「アダプトゲン」の代表的な植物として紹介されることもあります。
アダプトゲンとは、心身がストレスに適応する働きを支えると考えられている天然由来の素材を指す言葉です。

ただし、アダプトゲンは現代医学で確立された治療概念ではなく、朝鮮人参についても研究結果がすべて一致しているわけではありません。
そのため、「疲れているときには活力を与え、緊張しているときには鎮める」といった単純なものではなく、体調や製品、摂取量などによっても異なることを理解しておくことが大切です。

それでも、無理にエネルギーを引き出すのではなく、日々のコンディションや生活リズムを整えるという考え方は、現代のウェルネスにも通じています。

東洋医学における「気」と朝鮮人参

朝鮮人参は、東洋医学や漢方の世界でも長く利用されてきました。
東洋医学では、健康を単に「病気がない状態」と捉えるのではなく、心身のバランスが保たれている状態として考えます。

その考え方のひとつに、「気・血・津液(き・けつ・しんえき)」があります。
「気」は生命活動を支える働き、「血」は身体を養うもの、「津液」は身体を潤す水分を指します。これらは現代医学における血液やリンパ液などとそのまま一致するものではなく、身体を包括的に捉えるために発展してきた東洋医学独自の概念です。

朝鮮人参は、漢方では「気を補う」代表的な生薬として用いられてきました。
一度に大きな変化を求めるのではなく、身体の土台を支え、日々の健やかさを養っていく。
この考え方は、毎日のセルフケアやウェルネスを考えるうえでも参考になります。

日本で「オタネニンジン」と呼ばれる理由

朝鮮人参は、現在の日本にも深く根づいています。
江戸時代、日本では朝鮮人参の多くを輸入に頼っており、非常に高価な生薬でした。

そこで八代将軍・徳川吉宗が国内での栽培を奨励し、幕府で育てた種子を各地に分け与えたと伝えられています。
この「御種(おたね)」に由来して、日本では朝鮮人参を「オタネニンジン」と呼ぶようになりました。

その後、会津や信州、島根県の大根島などで栽培が広がり、それぞれの地域で土地の気候や知恵を生かした産地が育まれていきました。
長い時間をかけて植物を育て、その価値を受け継いでいく。
そこには、日本の食文化やものづくりにも通じる、時間を大切にする考え方があります。

朝鮮人参が教えてくれる「根を育てる」ということ

朝鮮人参の特徴は、長い時間をかけて根を育てること。
私たちの身体も同じように、日々の小さな習慣によって少しずつ土台がつくられていきます。


よく眠ること。
季節の食材を取り入れること。
適度に身体を動かすこと。
深く呼吸すること。
そして、ときには立ち止まって心を休ませること。

健康やウェルネスというと、目に見える変化や新しい方法に目が向きがちですが、まずは自分の身体を支える基本的な習慣を見直すことも大切です。朝鮮人参のように、時間をかけて自分自身の「根」を育てる。それは、変化の多い毎日を健やかに過ごすための、シンプルなセルフケアのひとつなのかもしれません。




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栄養士・食育指導士・食の6次産業化プロデューサーlevel4
石原綾子

ヘルスケア分野での栄養指導、アグリビジネスのプロフェッショナル。
ミスワールド日本候補生に向けた講演会など、美や健康に特化した分野をフィールドに様々な活動を行なっている。

「食を通して心と身体を豊かにし、人と地域がつながる生き生きとした社会を実現する」を理念に掲げ2013年に、株式会社アイ・フィールドを設立、代表を務める。
各地域で野外レストランを開催する「DINING OUT」の食材TEAMや、ファッションブランドのプロジェクトに中心メンバーとして参画。
また、地域食材のPR、「健康」や「美容」に特化した商品開発プロデュース、ブランディング、コンセプト設計、食品衛生、販売促進プロモーション、研修企画運営等に携わっている。GRØNの商品開発では栄養面での監修を担当。消費者の健康に、より効果的に取り入れる方法を提案している。
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ABOUT US私たちについて

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