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免疫が体を傷つける?日本で増える自己免疫疾患 〜栄養士のColumn Vol.94

免疫が体を傷つける?日本で増える自己免疫疾患 〜栄養士のColumn Vol.94

コロナ禍で、より注目を集めることになった自己免疫機能

自己免疫機能とは、体の調子を整え、病原体から身を守り、損傷を受けた時には修復するという、人間が備える防御システムを指す言葉です。

病原体やアレルゲン、がん細胞など病気の原因となる物質が、皮膚や粘膜をすり抜けて体内へと侵入したり、老廃物などが溜まってしまうと、免疫細胞はこれらを「異物」として見つけ出し、攻撃・排除をして、人間の健康を保ちます。

そんな健康には欠かせない免疫の機能。
ところが近年日本では、その機能が正常に働かず、体へと不調をもたらす「自己免疫疾患」という症状が増えていることをご存知でしょうか。

今回は、そんな自己免疫疾患についてお話をしていきます。

自己免疫疾患とは

自己免疫疾患とは、体内にある「異物」を見つけ・攻撃する機能に誤作動が生じ、体に様々な不調が現れる症状を指します。

本来免疫は、自分の体を構成する細胞や物質と異なる異物のみを攻撃対象とするはずが、「自己免疫疾患」を発症させると、自分自身の正常な組織までもを攻撃対象とするため、臓器や組織などが傷つけ、体の不調を巻き起こします。

自己免疫疾患の一般的な治療法として行われているのが、傷つけられた炎症を抑えるためのステロイド薬の投与や、免疫機能の働きを抑えるための薬を投与する、免疫抑制療法です。
ただステロイド薬の投与はあくまで一時的に炎症を抑えるもの、免疫抑制療法は、免疫機能自体の働きも抑えるもので、がんや感染病などの発症リスクをあげてしまうため、根本的な解決には至っていないのが現状です。

免疫の役割

本来体を守ってくれるはずの免疫が、自分自身を攻撃してしまう自己免疫疾患。
どのようなことが体の中で起こっているのでしょうか。
その根本を理解するために、免疫本来の役割を理解していきましょう。

免疫の役割1. 自己細胞以外の細胞を見つける
まずは侵入してきた異物や病原体など、自己細胞(自分自身が本来持つ細胞)と異なる細胞を見つけ、自分自身で攻撃・排除までをします。

免疫の役割2. 抗体を生成する
新型ウイルスなど、初対面となる異物や病原体などが体内に侵入してきた際には、これらを攻撃・排除する抗体をオーダーメイドで生成します。

免疫の役割3. 免疫記憶を形成する
一度感染した病原体に対しては、再侵入に備え抗体を記憶させ、体内へと張り巡らせます。また、いつでも抗体を追加生成ができるよう準備を整えます。この働きは、同じ病気の再発症や重症化のリスクを防いでくれます。

免疫の役割4. 炎症を制御する
「腫れ・発赤・痛み・熱」が生じる炎症反応。傷を負ったり、異物や病原体に感染した際に生じるもので、免疫細胞が病原体と戦っている時に生じるものです。これが過剰に稼働すると正常な細胞までも傷つけてしまうため、それを制御する働きも備えています。

炎症反応を起こしている患部は、血管が拡張して血液が流れ込むため赤くなります。
そして血液と一緒に大量の免疫細胞が流れこみ、サイトカインという特有のタンパク質分子を分泌し病原体を攻撃します。
本来は病気や傷の悪化を防ぐための必要量のみ分泌されるはずのサイトカインですが、自己免疫疾患になると暴発するほど分泌され、正常な細胞までも傷つけるまで炎症させてしまいます。

自然免疫と獲得免疫

体を守ってくれるはずの免疫が、なぜ自分自身を攻撃してしまうのか。
その理由を知るために、人間が備える2種類の免疫機能について深掘りしていきましょう。

免疫機能には2種類、「自然免疫」「獲得免疫」が存在します。
これらは共に白血球の一つに分類されるものでで、それぞれが異なる役割を持ち病原体やウイルスから体を守ってくれています。

まずは、自然免疫
これらは人間にもともと備わっている免疫システムで、体内で常に稼働しています。
役割として、皮膚や粘膜をすり抜けて侵入した、ウイルスや病原体など幅広い異物に、いち早く迅速に感知して、排除をする働きをもちます。

病原体を直接攻撃する好中球や寄生虫の退治を得意とする好酸球
侵入した外敵侵入の情報を司令塔・T細胞へと伝える樹状細胞や、伝達機能だけでなく、自ら貧食(食べて消化して死滅させること)もするマクロファージ
ウイルスに感染した細胞や、がん細胞、自己の腫瘍細胞を攻撃して排除するNK(ナチュラルキラー)細胞など、これらさまざまな免疫細胞から自然免疫は構成されています。

つづけて、獲得免疫
適応免疫とも呼ばれるもので、T細胞とB細胞という2種類の免疫細胞から構成されています。
自然免疫と比べて、獲得免疫の初動は遅めですが、効き目は強力です。

獲得免疫を構成するT細胞。
リンパ球に属するT細胞は、自然免疫であるマクロファージや樹状細胞から外敵侵入の情報を受け取って働きます。
T細胞は大きく分けると二つ、受け取った情報を基に、司令塔となり体内の免疫細胞へと攻撃指示を行うヘルパーT細胞と、自分自身がウイルスやがん細胞に感染した際、感染した細胞を直接攻撃・除去をするキラーT細胞が存在します。

その中で自己免疫疾患との関わりが強いものが、ヘルパーT細胞の一種・制御性T細胞です。
キラーT細胞の活動を抑制することで、サイトカインの過剰分泌から生じる過剰な炎症反応を抑え、適切なタイミングで免疫反応を終了させてくれます。

同じく獲得免疫を構成するのがB細胞
T細胞同様・リンパ球に属する免疫細胞です。
B細胞は、自然免疫やヘルパーT細胞から侵入した病原体(抗原)の情報を得て、それらを体外へと排除する目的に特化した抗体を大量に作り、これらの働きが病気の感染や悪化を防ぎます。
その一方でB細胞の一部が、メモリーB細胞となり体内に残り、同じ病気の2度目以降の再感染に備えてくれるのです。

T細胞の一部もB細胞同様、メモリーT細胞となり、ウイルスやがん細胞など一度感染した病原体の情報を記憶して、病気の再感染や悪化を防いでくれます。

このように免疫機能は、自然免疫と獲得免疫、それらを構成する免疫細胞の相互作用の働きによって保たれています。

自己免疫疾患を防ぐためにできること

自己免疫疾患は、未だに解明されていない部分もありますが、サイトカインの過剰分泌によって生じる、T細胞を中心とする免疫細胞の暴発が原因の一つとされています。
そして原因となるサイトカインの過剰分泌を抑えるには、免疫寛容(体内に侵入した異物を排除せず受け入れること)機能の働きを深めることが、重要とされています。

一方で単純に免疫寛容を深めてしまうと、感染症やがんにかかりやすい状況が生まれてしまいます。
これが免疫抑制療法の副作用が抱える問題です。

理想の治療法は、やみくもに免疫システムを寛容するのではなく、特定の免疫システム(正常な細胞を攻撃するもの)のみを寛容する、という整った状態をつくることが求められます。

そのために、おすすめできる生活習慣や食事の改善法を、栄養士の観点から紹介してます。

できること1. しっかりと睡眠をとる

睡眠には疲労回復とは別に、免疫機能を保つという重要な役割があります。
十分な睡眠をとることは、唾液中の殺菌成分の分泌を高め、病気にかかりにくい体づくりに一役買ってくれます。
また自律神経も整えてくれるので、ストレスの増長を抑え免疫機能を安定させてくれるとも言われています。

睡眠時間も大切ですが、同じくらい大切なことが睡眠の質。
眠りの質を高めるために、寝る前はアルコールやカフェインの接種を控え、深く眠れる準備を整えてからベッドに行きましょう。

睡眠については、こちらのコラムもご参照ください。

できること2. 適度な運動を生活にとりいれる

短時間に行う適度な運動は、自然免疫であるNK(ナチュラルキラー)細胞を増殖させてくれます。
NK細胞は、がん細胞やウイルスへの感染を初期段階から防いでくれるので、自己免疫機能のバランスを整えるのに一役買ってくれます。

運動については、こちらのコラムもご参照ください。

できること3. バランスの良い食生活を心がける

免疫力を整えるためには、栄養バランスの良い食事を日頃から心がけることが大切です。
十分なたんぱく質(魚、肉、豆類など)、炭水化物(全粒穀物、果物、野菜など)、良質な脂質(オメガ-3脂肪酸を含む魚、アボカド、ナッツなど)、ビタミンミネラルの摂取を意識しましょう。

また免疫力を高めることだけを意識するのではなく、免疫力を整えることも強く意識することが必要です。
免疫を整える、食生活のポイントも以下にまとめてみました。

-腸内環境を整えるために、乳酸菌飲料発酵食品はもちろん、食物繊維も積極的に取り入れる。
-腸内環境を乱す、人工甘味料食品添加物はできるだけとらない。
-炎症を抑える食品、ナッツやベリー類、生姜などを積極的にとりいれる。ビーガンでない方には、オメガ3を豊富に含む鯖や鮭などの青魚もお勧めです。
-女性ホルモンのバランスを整えるために、アダプトゲンに分類される、ホーリーバジルルイボスティーマカクコの実などを日常的に取り入れる。
-炎症性サイトカインの制御を促す食品、ウコンキャッツクローなどのスーパーフードを取り入れてみる。

最後に

自己免疫疾患は、がんや脳梗塞などの生活習慣病のように、現代になって発症例が増えている現代病の一つと考えられています。
都市化、産業化、IT化が進む現代社会の中で、目に見えない電磁波やストレス、排気ガスや汚染物に体がさらされ、異常が生じているのではないかと思います。

たまには都市を抜け出して自然に触れてみたり、懐かしい友人に会って何気ない会話を交わしてみたり、何もせずにゆっくりとうたた寝をしながら過ごしてみたり、自分自身を自然体に近づける努力をしてみてもいいかもしれませんね。

今日も明日も楽しく健康に楽しく生きていくために。
免疫力を高めることだけでなく、整えることにも意識を向けてみましょう!

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栄養士・食育指導士・食の6次産業化プロデューサーlevel4
石原綾子

ヘルスケア分野での栄養指導、アグリビジネスのプロフェッショナル。
ミスワールド日本候補生に向けた講演会など、美や健康に特化した分野をフィールドに様々な活動を行なっている。

「食を通して心と身体を豊かにし、人と地域がつながる生き生きとした社会を実現する」を理念に掲げ2013年に、株式会社アイ・フィールドを設立、代表を務める。
各地域で野外レストランを開催する「DINING OUT」の食材TEAMや、ファッションブランドのプロジェクトに中心メンバーとして参画。
また、地域食材のPR、「健康」や「美容」に特化した商品開発プロデュース、ブランディング、コンセプト設計、食品衛生、販売促進プロモーション、研修企画運営等に携わっている。GRØNの商品開発では栄養面での監修を担当。消費者の健康に、より効果的に取り入れる方法を提案している。

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