KETO (ケトン体) ダイエットについて 〜栄養士のColumn Vol.31
少し前から話題になっている「ケトン体ダイエット」。
アメリカの医師ロバート・アトキンス氏が考案した食事法で、アスリートやスポーツ愛好家の間でも注目が高まっています。
糖質の摂取を抑え、体内で脂肪から「ケトン体」という物質をつくり出せる状態(ケトーシス)に導くことで、効率的に脂肪を燃焼させるのが特徴です。
「糖質制限」と似ていますが、実は目的や食事バランスに明確な違いがあります。

ケトン体ダイエットと糖質制限の違い
ケトン体ダイエットは、脂質を多く・糖質を少なく摂る高脂質・高タンパク・低糖質の食事法です。
米・パン・麺類・果物・調味料などの糖質を大幅に制限し、1日の糖質摂取量は40~60gが目安。不足するエネルギー(全体の60〜90%)を脂質で補います。
一方、糖質制限は中脂質・中タンパク・低糖質の食事法で、1日の糖質量は80〜130g。糖質を緩やかに抑えつつ、たんぱく質と脂質で補うバランス型の食事です。
両者の大きな違いは「脂質量」。
ケトン体ダイエットは“高脂質”で体の代謝を脂質利用に切り替える点が特徴です。
ただし、高脂質の生活を長期間続けると健康リスクが生じる可能性もあるため、正しい方法で無理なく取り組むことが大切です。

ケトン体とは
ケトン体とは、アセト酢酸・β-ヒドロキシ酪酸・アセトンの3種類の総称です。体内の糖質が少ないとき、脂肪がエネルギーとして代謝される過程で生成される物質です。
通常、私たちの体は糖質と脂質の両方を使ってエネルギーをつくります。
糖質は即エネルギーになりやすい一方で、脂肪は普段使われにくいため、糖質と一緒に消費されるのが一般的です。
しかし糖質が極端に少なくなると、脂肪が「ケトン体」に変換され、脳や全身のエネルギー源として使われます。
ケトン体は糖に代わる“脳が使える唯一の代替エネルギー”でもあります。
ケトン体ダイエットは、糖ではなくケトン体を主な燃料にすることで、脂肪を効率よく使う “脂質代謝型” の体質に導く食事法です。

なぜケトン体ダイエットでスリムになれるのか
ポイントは、血糖値を下げる唯一のホルモン「インスリン」です。
通常の糖代謝では、糖質を摂るとインスリンが分泌され、余った糖を脂肪として蓄えるように働きます。また、インスリンが出ると脂肪の燃焼も抑えられてしまうため、分泌量が多いほど太りやすくなります。このため、インスリンは「太らせるホルモン」とも呼ばれます。
ケトン体ダイエットでは糖質を極限まで抑えるため、インスリン分泌を大幅に減らすことができ、脂肪の合成を抑え、蓄積を防ぎながら、脂肪燃焼を促進できます。
さらに、脂肪からエネルギーをつくりやすい体質に変わることで、効率的に脂肪を減らせると言われています。

ケトン体ダイエットを実践するには
とはいえ、「脂質を多く摂る食生活」をいきなり習慣化するのは難しいもの。
そのため実際には、脂質を増やすよりも“糖質を徹底的に減らすこと”にフォーカスする方法が取り組みやすいとされています。
▶摂取を控える食品
米・パン・パスタ・芋類・菓子類・清涼飲料水・砂糖・フルーツなど糖質の多い食品。調味料の糖質にも注意。
▶食事制限の期間
最初の2週間:糖質20g/日まで
2週間以降:目安40g/日まで増やす
目標体重になったら、太らない範囲で徐々に糖質を調整。
▶糖質の増やし方
GI値60以下の炭水化物から少しずつ回復。
例:玄米、ライ麦パン、全粒粉パンなど。
(※低GI値の詳細は「栄養士のColumn Vol.7」を参照)
▶摂取可能な食品
肉、魚介類(衣や甘い調味料に注意)、卵、チーズなどのたんぱく質。
牛乳や豆腐は糖質が比較的多いので適量に。
▶意識して補いたい栄養素
ビタミンB群、ビタミンC、カルシウム、食物繊維など水溶性栄養素は不足しがちなので意識的に補給。
▶控えたい食品
生クリーム、牛脂、ラード、マーガリン、バター、ホイップクリーム、クリームチーズなど飽和脂肪酸が極端に多いもの。
飽和脂肪酸は体脂肪として蓄積されやすく、過剰摂取は生活習慣病のリスクを高めます。

<ケトン体ダイエットの注意点>
ケトン体ダイエットは、方法を誤るとリバウンドや体調不良を招くことがあります。
正しい知識を持つことが大切です。持病や妊娠中などの少しでもカラダに不安がある方は、必ず医師や栄養士に相談をした上で行うことが大切です。
▶ケトーシスに注意
ケトン体が血中に多い状態を「ケトーシス」と呼び、
・息がツンとする
・口の渇き
・頭痛、下痢、脱水、イライラ、口臭、体臭、湿疹、倦怠感
などが現れることがあります。
普段糖質を多く摂っている人ほど急激にケトーシスになりやすいため、まずは軽い糖質制限から始めるのが安全です。
▶不調を感じたらすぐ中止
体調が優れない、頭が働かないなどの違和感があれば直ちに中止し、糖質を適量摂るようにしましょう。
また、長期間続けると
・LDLコレステロール増加
・ミネラル不足
・尿酸値上昇
・腎結石リスク
など健康リスクが報告されているため、短期間で正しく行うことが基本です。
▶ストレスを溜めすぎないように気をつける
また、ダイエット全般に言えることですが、イライラ・落ち着かない・便秘など、無計画に行うことでストレスにつながることもあります。
ストレスで食欲が逆に増してしまうこともあるので、注意が必要です。

ケトン体ダイエットにチャレンジする時は、無理をしすぎず計画的に、そして自分のカラダと相談しながら行うことが非常に大切です。
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栄養士・食育指導士・食の6次産業化プロデューサーlevel4
石原綾子
ヘルスケア分野での栄養指導、アグリビジネスのプロフェッショナル。
ミスワールド日本候補生に向けた講演会など、美や健康に特化した分野をフィールドに様々な活動を行なっている。
「食を通して心と身体を豊かにし、人と地域がつながる生き生きとした社会を実現する」を理念に掲げ2013年に、株式会社アイ・フィールドを設立、代表を務める。
各地域で野外レストランを開催する「DINING OUT」の食材TEAMや、ファッションブランドのプロジェクトに中心メンバーとして参画。
また、地域食材のPR、「健康」や「美容」に特化した商品開発プロデュース、ブランディング、コンセプト設計、食品衛生、販売促進プロモーション、研修企画運営等に携わっている。GRØNの商品開発では栄養面での監修を担当。消費者の健康に、より効果的に取り入れる方法を提案している。
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