バイオダイナミック農法とリジェネラティブ農法 ― 未来の食を支えるサステナブルな農業とは 〜栄養士のColumn Vol.135
近年、「バイオダイナミック農法」や「リジェネラティブ農法(再生型農業)」といったキーワードを目にする機会が増えてきました。
どちらも、従来の農業スタイルに比べ、より環境との共生を重視する“未来の食”づくりに欠かせないアプローチです。
単に作物を育てるのではなく、土を育て、水を守り、生態系全体のバランスを整える。
そんな“地球を育てる農業”が、いま世界中で静かに、でも確実に広がり始めています。
バイオダイナミック農法とは?
バイオダイナミック農法(Biodynamic Agriculture)は、1920年代にオーストリアの思想家ルドルフ・シュタイナーが提唱した農法です。
この農法の最大の特徴は、「畑を一つの生命体としてとらえ、宇宙のリズムに寄り添って栽培する」という点にあります。
月や星の動きに合わせて種をまき、牛糞や薬草などを使った独自の調合剤で土壌のエネルギーを高めるというユニークな方法です。
一見スピリチュアルに思えるかもしれませんが、科学的にも一定の効果が示されています。
たとえば、ドイツの研究では、バイオダイナミック農法で育てたトマトは、通常の農法に比べてポリフェノール含有量が最大30%高いというデータも。さらに、ビタミンCや鉄分、カルシウムなどの栄養素を自然なバランスで含むことから、栄養価の高さも注目されています。
リジェネラティブ農法とは?
リジェネラティブ農法(Regenerative Agriculture)とは、土壌の再生と生態系の回復を目的とした、次世代型のサステナブル農業です。
近年では、多くの環境団体や有機農業の先進国で注目されています。
主な特徴としては、以下のような手法があります:
- 不耕起栽培:土を極力耕さず、土壌微生物の活動を保つ
- カバークロップ(被覆植物)の活用:養分や水分の流出を防ぎ、土壌を保護
- 自然放牧と輪作:動植物の自然なサイクルを活用し、土壌を豊かにする
こうしたアプローチにより、土壌は活性化され、自然なミネラルやフィトケミカルが豊富に蓄積された作物が育つようになります。アメリカの研究では、リジェネラティブ農法によって育てられた野菜には、通常農法に比べてカルシウムが21%、マグネシウムが29%、鉄分が17%多く含まれていたとの報告も。
つまり、「土 → 作物 → 人間」という健全な栄養循環を取り戻すことこそが、リジェネラティブ農法の本質なのです。

日本でも広がり始めた“地球を育てる農業”
こうした農法は、決して海外だけのトレンドではありません。
日本でも、バイオダイナミック農法やリジェネラティブ農法を実践する農家が増加しています。
単に無農薬・無化学肥料にとどまらず、「土壌の生命力こそが作物の健康を支える」という考え方が広まりつつあります。
「健康な野菜は、健康な土から生まれる」という新たな常識が、農家だけでなく消費者の間にも浸透し始めているのです。
私たちの食卓が、未来を変える
もちろん、これらの農法は手間も時間もかかり、効率重視の現代農業とは対照的です。
それでも挑戦する生産者が増えているのは、未来への「責任」と「希望」があるから。
私たちが口にする一皿の背景には、数えきれない人々の努力と、何世代にもわたる大地の営みがあります。
そう考えると、「食べる」という日常の行為が、未来を育てる行動に変わるのです。
では、私たちにできることは何でしょうか?
- バイオダイナミック農法で育てられた野菜やワインを選んでみる
- リジェネラティブ農法に取り組む農家を応援する
- 食品の産地や育て方に関心を持つ
こうした小さな選択が、やがてサステナブルな社会の大きなうねりになります。
そしてその一歩が、地球にも、私たち自身の体にも優しい栄養を届けてくれるのです。
GRØNが目指す「植物性プロテインによるナチュラルな栄養補給」も、まさにこうした未来志向の農業に支えられています。
あなたの一皿が、未来の地球を育む一歩となることを願って。
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GRØNのプロテインブレンドは、農家さんが大事に育てた植物を加工過程をなるべく少なくして製造しています。
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栄養士・食育指導士・食の6次産業化プロデューサーlevel4
石原綾子
ヘルスケア分野での栄養指導、アグリビジネスのプロフェッショナル。
ミスワールド日本候補生に向けた講演会など、美や健康に特化した分野をフィールドに様々な活動を行なっている。
「食を通して心と身体を豊かにし、人と地域がつながる生き生きとした社会を実現する」を理念に掲げ2013年に、株式会社アイ・フィールドを設立、代表を務める。
各地域で野外レストランを開催する「DINING OUT」の食材TEAMや、ファッションブランドのプロジェクトに中心メンバーとして参画。
また、地域食材のPR、「健康」や「美容」に特化した商品開発プロデュース、ブランディング、コンセプト設計、食品衛生、販売促進プロモーション、研修企画運営等に携わっている。GRØNの商品開発では栄養面での監修を担当。消費者の健康に、より効果的に取り入れる方法を提案している。
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