咀嚼することで若返る?咀嚼の大切さ。 〜栄養士のColumn Vol.91
私たちの体は、食べ物から取り込む栄養がとても重要です。
いくら食材にこだわっても、食事の仕方によっては、十分に栄養を吸収しきれていないこともあります。
食べたものを体内に取り入れるためには、消化器官で消化・吸収される必要があります。
まず、食べ物を口の中で咀嚼(そしゃく)します。
咀嚼とは、食べ物を口の中で噛み砕く行為のことで、口や顎の筋肉を使って、食物を噛んだり砕いたりしながら食べることです。
細かく砕くことで、消化しやすくするだけでなく、唾液と混ざり合うことを促進します。
今回は、私たちが当たり前のようにしてる“咀嚼の大切さ”についてお伝えしていきます。
咀嚼してから栄養が体内へ吸収されるまで
唾液には糖質の消化を助ける「アミラーゼ」と呼ばれる消化酵素が含まれています。
唾液と混ざった食べ物は、胃に運ばれると消化酵素を含む消化液で分解され、栄養素を吸収しやすい状態にします。
次に、十二指腸で膵液や胆汁によって、糖質、タンパク質、脂質が分解され、小腸では内壁にある絨毛で栄養素の大部分が吸収されます。その後、腸の毛細血管とリンパ管を経由し、栄養が全身に運ばれていきます。
小腸で吸収された栄養素は、血液中に取り込まれて全身に運ばれ、エネルギーや生命維持に使われています。
咀嚼は20〜30回程度
最初に口に入った食べ物をきちんと噛まない場合、食べ物が十分に細かくならず、消化器官への負担が増えてしまうことがあります。
これにより、消化不良や胃腸の不快感、腹部膨満感などが起こり、栄養素の吸収率が低下する可能性も出てきます。
食べ物の栄養を効率良く吸収するためには、しっかりと咀嚼することが重要で、一般的には食物を20〜30回程度噛んで、細かく砕いた後に飲み込むことが良いとされています。
食べ物が細かく砕かれると、前述したように消化酵素を含む唾液の分泌も促進され、消化酵素の作用で栄養の消化・吸収が促されます。
唾液は口腔内の状態を整える働きもするので、食物を滑らかにして飲み込みやすくする役割を果たします。
咀嚼することのメリット
咀嚼は消化と栄養吸収のサポートだけでなく、下記の通り様々なメリットがあります。
*胃腸への負担を和らげる
唾液中の消化酵素の分泌がUPし、細かくかみ砕くことで胃腸への負担を和らげます。
*食べ過ぎを防止する
ゆっくりと咀嚼することで食事の摂取速度を適切に調整し、満腹感が得られて過食を防ぐことができます。
*むし歯、歯周病、口臭を予防する
咀嚼により唾液の分泌が増え、唾液の抗菌作用によって口内の細菌や食物の残りカスを洗い流す清掃的効果が高まります。
*味覚が発達する
よく噛むことで唾液が多く分泌され、味覚情報の伝達を助けます。
*脳の働きを活発にする
近年さまざまな研究から、噛むことが脳を活性化させることがわかってきています。
脳への血流が増し、脳の動きが活性化、記憶力や集中力のアップにつながります。
咀嚼をすることで若返る?
最近では、食べ物をしっかりと噛むことで「若返りホルモン」とも言われる“ マイオカイン ”の研究が盛んに行われています。
マイオカインは、特に運動生理学の分野で注目されるようになったホルモンです。
骨格筋から分泌される生理活性物質の総称で、運動や筋肉の収縮によって刺激され、筋肉から血液中に放出されます。
いくつもの種類があり、運動によって骨格筋から分泌されるものや骨格筋以外の臓器からも分泌されるものがあります。
これらは、他の組織や臓器に影響を及ぼすことが知られていて、老化防止、代謝の活性化、認知の改善、病気予防、体内の代謝や分泌の調整、血糖調整、脂質低下、脂肪分解などが期待されます。
マイオカインは、咀嚼運動によっても分泌が促進されると考えられています。
このように、咀嚼は食事の大切な一部であり、消化や栄養吸収に影響を与える重要なプロセスです。
食事の際には、噛むことを意識してゆっくりと食事をする習慣を身につけてみてはいかがでしょうか?
GRØNの商品は、お菓子やお料理にも活用できます。
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栄養士・食育指導士・食の6次産業化プロデューサーlevel4
石原綾子
ヘルスケア分野での栄養指導、アグリビジネスのプロフェッショナル。
ミスワールド日本候補生に向けた講演会など、美や健康に特化した分野をフィールドに様々な活動を行なっている。
「食を通して心と身体を豊かにし、人と地域がつながる生き生きとした社会を実現する」を理念に掲げ2013年に、株式会社アイ・フィールドを設立、代表を務める。
各地域で野外レストランを開催する「DINING OUT」の食材TEAMや、ファッションブランドのプロジェクトに中心メンバーとして参画。
また、地域食材のPR、「健康」や「美容」に特化した商品開発プロデュース、ブランディング、コンセプト設計、食品衛生、販売促進プロモーション、研修企画運営等に携わっている。GRØNの商品開発では栄養面での監修を担当。消費者の健康に、より効果的に取り入れる方法を提案している。
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