ナッツの種類と栄養素について 〜栄養士のColumn Vol.106
サラダのトッピングやおやつなどとして食べられているナッツ類。
今回は、栄養価が高く、様々な健康上の利点がある「ナッツ」についてお話したいと思います。
ナッツとは
ナッツとは、広義には硬い殻や外皮で覆われた「果実」で、一般的には中に種子(種子として食用になるものも含む)を含んでいる食品です。
木の実や種子=種実類に属しています。
食べる部位はナッツによって異なり、種子をそのまま食べるもの(カシューナッツやシード類)や、硬い殻を割って種の中の「仁」という部分を食べたり(アーモンドやくるみ)、「堅果」という実の部分を食べたり(ヘーゼルナッツなど)します。
日本ではポピュラーな「ピーナッツ」ですが、実はナッツ類(種実類)ではなく、豆類に分類されます。
良質なタンパク質が豊富で、茶色い薄皮は抗酸化作用のあるポリフェノールを含んでいます。
ナッツに含まれる栄養素について
ナッツには、良質な脂質、たんぱく質、食物繊維、ビタミン(特にビタミンE、ビタミンB群)、ミネラル(特にマグネシウム、リン、鉄)などが豊富に含まれています。
しかし、栄養が豊富だからと言って食べ過ぎはNG。
エネルギー密度が高いため、過剰な摂取はカロリー過多や肥満につながる可能性がります。
適切な量を守って摂取することが重要です。
ナッツに含まれる特徴的な栄養素について、いくつかご紹介します。
*不飽和脂肪酸
ナッツは約50~70%が不飽和脂肪酸という脂質でできています。
不飽和脂肪酸とは、植物や魚に多く含まれる脂質であり、脂質でありながら生活習慣病の予防や血流改善、中性脂肪やコレステロールの改善に効果が認められています。
*たんぱく質
ナッツに含まれるたんぱく質は、アミノ酸のバランスが比較的良好で、体に必要な必須アミノ酸も含まれています。
植物性たんぱく質は、動物性たんぱく質と比較して脂肪やコレステロールの含有量が低く、飽和脂肪酸が少ないため栄養価が高いことが特徴です。
*食物繊維
水溶性と不溶性の2種類ある食物繊維。
胃腸をゆっくりと移動し、糖質の吸収を緩やかにしてくれる働きがある水溶性と、腸の動きを活発化させ、善玉菌を増やして腸内環境を整える効果のある不溶性食物繊維。
ナッツ類にはどちらも含まれますが、多くのナッツで不溶性食物繊維が多く含まれます。
これが腸内環境の改善に役立ちます。
*ビタミン&ミネラル
主にビタミンEが豊富です。
抗酸化作用があり、細胞を酸化ストレスから守り、健康な皮膚や免疫機能を維持するのに役立ちます。ナッツ類に含まれる代表的なミネラルは、ナッツによって含有量の違いはありますが、マグネシウム・カルシウム・カリウム・リン・鉄・銅・亜鉛などがあります。
主なナッツの種類と栄養について
ナッツというと、どの種類を思い浮かべますか?
次に代表的なナッツの栄養素について、いくつかご紹介します。
*アーモンド
ナッツの定番ですね。
食物繊維とビタミンEを豊富に含みます。
食物繊維が、腸内の健康をサポートし、満腹感を促進します。
ビタミンEは抗酸化作用があり、細胞を酸化から守り、健康な皮膚や免疫機能を促進します。
*くるみ
オメガ3脂肪酸を豊富に含み、血管健康を促進し、動脈硬化のリスクを低減することに期待されています。
タミンEやビタミンB群(特にビタミンB6)、マグネシウム、リン、亜鉛などのミネラルが含まれています。
これらの栄養素は免疫機能や骨の健康などに寄与します。
*マカダミアナッツ
他のナッツに比べ、オレイン酸やパルミトレイン酸などの一価不飽和脂肪酸を豊富に含み、悪玉コレステロールを下げてくれる働きがあります。
また、むくみ解消、神経の興奮伝達や筋肉の収縮に関わるカリウムを豊富に含みます。
*ヘーゼルナッツ
体に嬉しい栄養が豊富に含まれています。
アーモンドと同様にビタミンEを豊富に含みます。
また抗酸化作用の高いオレイン酸を豊富に含みます。
コレステロール値を下げる効果が期待されており生活習慣病を予防します。
*ピスタチオ
むくみを解消する働きのあるカリウムの含有量が多いのが特徴です。
むくみが気になる方は、おやつにいかがでしょう。
脂肪燃焼効果のあるビタミンB2や美しい肌と髪の毛をキープするビタミンB6も豊富に含みます。
上記以外でも、抗酸化作用に期待できる「ピーカンナッツ」や鉄分を豊富に含み貧血予防に期待ができる「カシューナッツ」などがあります。
ナッツとアレルギー
ナッツを摂り入れる中で、注意が必要なのはアレルギーです。
ナッツアレルギーは、特に子供や成人で一般的な食物アレルギーの一つ。
食物アレルギーの中でも重篤な症状を引き起こすことがあり、アナフィラキシーショックなど生命に関わる可能性があるため、非常に注意が必要です。
原因としては、食物に含まれるたんぱく質に対する免疫反応によって引き起こされると考えられています。
ナッツアレルギーの症状は個人差がありますが、一般的な症状には発疹、かゆみ、じんましん、吐き気、嘔吐、下痢などが含まれます。
重篤な場合には、呼吸困難、血圧の急激な低下、アナフィラキシーショックが発生することがあります。
ナッツアレルギーが疑われる場合は、医師やアレルギー専門医と相談し、適切な検査や診断を受けることが重要です。
一言にナッツと言っても、実は食べている部位の違いや種類など、奥が深い食材ということが分かりました。
最近では、アーモンドミルクに代表するナッツミルクも店頭に並ぶようになりました。
栄養価は異なるものの、手軽にナッツを摂取できる利点があります。
GRØNのプロテインをナッツミルクで割って飲んでいただくと、より多くの栄養素を摂取できます。
普段の食事にプラスして、不足しがちな栄養素をナッツで摂り入れるのも一つの方法ですね。
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栄養士・食育指導士・食の6次産業化プロデューサーlevel4
石原綾子
ヘルスケア分野での栄養指導、アグリビジネスのプロフェッショナル。
ミスワールド日本候補生に向けた講演会など、美や健康に特化した分野をフィールドに様々な活動を行なっている。
「食を通して心と身体を豊かにし、人と地域がつながる生き生きとした社会を実現する」を理念に掲げ2013年に、株式会社アイ・フィールドを設立、代表を務める。
各地域で野外レストランを開催する「DINING OUT」の食材TEAMや、ファッションブランドのプロジェクトに中心メンバーとして参画。
また、地域食材のPR、「健康」や「美容」に特化した商品開発プロデュース、ブランディング、コンセプト設計、食品衛生、販売促進プロモーション、研修企画運営等に携わっている。GRØNの商品開発では栄養面での監修を担当。消費者の健康に、より効果的に取り入れる方法を提案している。
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