何種類知っていますか?栄養豊富な山菜の魅力 〜栄養士のColumn Vol.87
世界中に広がりを見せつつある日本の山菜
今回は、この時期限定で楽しめる山菜のお話です。
独特の苦みや風味、食感を持つ山菜は、山や森林に自生する野菜や草で春から初夏にかけて収穫されます。
山菜は私たちの身体に天然の苦味や辛味といった刺激を与えて、体を目覚めさせ活動的にする作用があります。
自然の恵みから生まれた山菜は、まさに栄養が凝縮されたスーパーフードです。
日本では古くから旬の山菜を食べて身体を整える習慣があり、すでに縄文時代には山菜を食べていたと考えられています。
また、万葉集にも数々の山菜が登場することから、日本人にはとても馴染みのある食材です。
海外に目を向けると、これまであまり山菜は食材として見向きもされていませんでした。
しかし2000年代以降になると、世界ベストレストラン50に4度も1位に輝いた「noma」などの有名レストランが、山菜や野草を料理に用いるようになり、山菜の認知度は一気にアップしました。
日本の山菜は、世界的にもその素晴らしさが認められつつあるようです。
山菜の栄養価
それでは、山菜の栄養価について見ていきましょう。
山菜の栄養成分は、野菜類と同じでタンパク質や脂質は少なく、食物繊維が多いのが特徴です。
山菜の苦みは「植物性アルカロイド」に由来するもので、植物が昆虫や外敵から身を守るための自己防衛手段です。
腎臓の機能を上げ、体の中の老廃物や溜まった水分の排出を促し、デトックスや、新陳代謝を促す働きが期待できます。
日本に生息する代表的な山菜
代表的な山菜には以下のようなものがあります。
*たらの芽(たらのめ)
ウコギ科「タラノキ」の新芽で全国各地に生息します。
苦味があり、ほろ苦い風味が特徴的で、アクが少なく、炊き込みご飯や煮物、天ぷら、お浸し、和え物など、様々な料理に利用されます。
常温では長持ちせず、乾燥すると苦みが強くなるので、乾燥させないように保存することが大切です。
腸内環境を整えてくれる「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の両方が豊富に含まれています。
また、血圧の調整や心臓の健康に重要な役割を持つカリウムも豊富です。
ビタミンCやビタミンEなどの抗酸化作用のあるビタミンや、カルシウムやマグネシウム、鉄などのミネラルも豊富なことから、「山菜の王様」とも呼ばれています。
*うど
ウコギ科の多年草で全国の山野に自生します。
自生している山うどは、崖などの急斜面に生えることが多く採取が難しいので、天然ものを手に入れられたらラッキーな山菜です。
下処理や料理によっては、穂先から茎、皮まで、ほとんど捨てずに食べられます。
独特の香りや苦み、歯ごたえがあり、天ぷらや酢みそあえ、茎などはお吸い物にしたりします。
カリウムやマグネシウムなどのミネラルを細胞内に吸収しやすくしたり、乳酸をエネルギーに変換し、疲労回復に効果があるアスパラギン酸を豊富に含みます。
*こしあぶら
タラの芽やウドと同じウコギ科で、木の芽の部分を食べます。
市場に出回る数が少ないことから、希少な山菜のひとつで「山菜の女王」と言われています。
アクは少なく、根元部分はしっかりとした食感があり、葉はほろ苦い風味を持っています。
抗酸化作用のあるポリフェノールを豊富に含み、栄養価の高い山菜です。
*ふきのとう
キク科フキ属の多年草。
独特な風味とエグミが特徴てきで、天ぷらや和え物に広く利用されています。
時間と共に苦みやエグミが強くなるので、根元の切り口を見て黒ずんでいない小ぶりの新鮮なものを選びましょう。
デトックスに欠かせないカリウムを豊富に含みます。また、植物性アルカロイドもたくさん含まれており、肝機能を強化し、新陳代謝を促進することに期待されています。
ふきのとうの独特な香りは「フキノイド」という成分によるもので、消化液を促進する働きをし、胃腸の働きを良くします。
*わらび
全国に自生しているシダの仲間の一種で、若芽を山菜として食用にします。
新鮮なものには産毛が沢山ついています。
わらびの根はデンプンを多く含み、このデンプンからワラビ餅の元となるワラビ粉が作られます。
若芽には独特の食感や粘り気があります。
抗酸化作用に期待ができるビタミンEを多く含んでいます。
*ぜんまい
ゼンマイ科ゼンマイ属のシダ植物で、若芽を食用とします。
あくが非常に強いので、沸騰したお湯で湯がいてあく抜きをする必要があります。
食物繊維をはじめ、抗酸化力と免疫力を高めるビタミンAやビタミンCを豊富に含みます。
また、赤血球の生産を助けるビタミン葉酸を豊富に含むので貧血予防にも期待されています。
*こごみ
シダ植物の多年草。
抗酸化作用を持つビタミンAやE、ビタミンC、鉄分、カリウムを含みます。
特に腸の動きを活発にさせる不溶性食物繊維がたっぷり含まれています。
*うるい
ユリ科の多年草。
山地や草原などの湿り気があるところに広く自生していて、サクッとした歯応えがあり、軽いぬめりがあります。
ビタミンCやビタミンA、カルシウム、鉄分、カリウム、食物繊維などの栄養素が豊富に含まれています。
ポリフェノールも含んでいるので、抗酸化作用にも期待できます。
代表的な山菜をいつくか挙げてみましたが、皆さんは何種類くらい知っていましたか?
このように日本では、様々な種類の山菜が生息しています。
栄養はもちろんのこと、自然の中で自生した山菜独自のパワーを取り入れることができます。
天然の山菜の収穫量は年々減少傾向にあり、最近ではハウスで山菜を栽培をしている農家さんが増えてきているようです。
地域の道の駅や直売所などでは、天然の山菜が販売されている所も多いようなので、お出かけの際にチェックしてみてください。
できるだけ自然のものを、自然のまま取り入れた食生活「パレオ」な食材としても山菜を選んでみてはいかがでしょうか?
GRØNでは、それぞれの素材がもつ力や栄養価を生かした商品づくりを心がけています。