私たちの体を守る「ポリフェノール」とは〜栄養士のColumn Vol.81
私たちの体や美容に良い影響を与える栄養素として注目される第7の栄養素「フィトケミカル」。
抗酸化作用や免疫力のある植物由来の栄養素で別名「ファイトニュートリエント」とも言います。
フィトケミカルについてこれまで何度かご紹介をしてきましたが、今回はフィトケミカルの中でもよく耳にする「ポリフェノール」に着目します。
食生活を彩る(フィトケミカルの様々な効果) 〜栄養士のColumn Vol.2(後編)
ポリフェノールとは
ポリフェノールとは、植物が光合成を行うときにできる化合物の総称(苦味や渋味、色素の成分など)で、植物が自らの生命を紫外線などのダメージから守るために身につける抗酸化成分です。
もともと人間には、不調につながる活性酸素を除去するSOD(スーパーオキシドディムスターゼ)という抗酸化酵素を生成する機能が備わっています。
しかし、年齢を重ねることでSODの生成機能が減少してしまいます。
さらに私たちの身の回りには、ストレスや紫外線、食品添加物など、活性酸素を発生させる要因がたくさんあります。
そこで活性酸素から体を守る抗酸化力を高めるために、食品からポリフェノールを摂取することが重要になります。
このポリフェノールが注目されたのは、1990年代。
1991年にフランスのセルジュ・ルノー博士らが、フランス人の心疾患による死亡率の低さは、赤ワインの消費量と関係あることをつきとめ、動物性脂肪の多量摂取があっても、赤ワインを飲んでいれば心疾患のリスクは低いと発表しました。
この発表により、赤ワインに含まれるポリフェノールが、動脈硬化の予防になると多くの人に知られるようになったのです。
以降さまざまな食品に含まれるポリフェノールの健康機能が注目されるようになり、動脈硬化の予防の他、生活習慣病の予防や改善などに役立つことが分かってきました。
ポリフェノールの分類と特性について
ポリフェノールというと、ワインを代表する赤紫色を想像する方も多いと思いますが、実はさまざまな色や種類があり、自然界には8,000以上存在するといわれています。
ポリフェノールは構造の違いによって、フラボノイド系と非フラボノイド系といったカテゴリーに分類され、アントシアニン、カテキン、カカオポリフェノール、イソフラボン、クルクミンなどといった成分もポリフェノールの一種です。
イソフラボン
食品:大豆、豆腐、おから、納豆、きなこなど
効果:更年期障害の症状を緩和、美肌力のアップ
女性ホルモンのエストロゲンに類似した構造を持つと言われている。
アントシアニン
食品:ベリー類、紫いも、黒大豆、黒ゴマ、赤ワイン、茄子、紫キャベツなど
効果:眼精疲労、血管の酸化を防ぎ、動脈硬化や血栓症を防ぐ
安全性や安定性にすぐれているため、食品用の天然色素として使用されている。
カテキン
食品:緑茶、紅茶、番茶、ウーロン茶 など
効果:高血圧や血糖値の上昇を抑制、脂肪の吸収を抑制する効果
殺菌作用や抗菌・抗ウイルス効果もあると言われており、免疫力UPにも期待。
ヘスペリジン
食品:オレンジ、レモンなどかんきつ類の果皮
効果:血流改善作用、ストレス軽減作用
漢方の原料である陳皮の有効成分としても知られている。別名ビタミンPとも呼ばれる。
ルチン
食品:蕎麦、アスパラガス、柑橘類の果物や果皮など
効果:高血圧の改善、血糖値の回復作用、毛細血管を強く丈夫にする、血流を促進し冷えや肩こりの改善
カカオポリフェノール
食品:チョコレート・ココアなど
花粉症・アレルギー症状の緩和、脳を活性化し認知機能の維持や認知症の予防
クロロゲン酸
食品:コーヒー、ごぼう、さつまいも、じゃがいもなど
効果:肝臓に中性脂肪が蓄積してしまう脂肪肝の予防、血糖値の上昇を防ぐことで糖尿病を予防
レスベラトロール
食品:赤ワイン、黒ぶどうの種や皮、ピーナッツの薄皮など
効果:細胞の酸化を防ぐ、肌の弾力を改善、血流の改善や血糖のコントロールなどに働く、生活習慣病の予防
プロシアニジン
食品:りんご、カカオ、シナモン、黒豆、ナッツなど
効果:活性酸素を除去する力に優れている、血流改善、抗筋肉疲労効果、美白効果、動脈硬化抑制
クルクミン
食品:ウコン、カレーなど
効果:肝臓の解毒機能をサポート、胆汁の分泌を促す、肝機能の向上
ポリフェノールはこの他にもたくさんの種類があり、抗酸化作用はもちろんのこと、種類によってさまざまな健康や美容効果を発揮します。
特にこの冬は、積極的にプラントベースフードを食事に取り入れ、免疫システムの働きを維持しましょう。
ポリフェノールは水に溶けやすい成分で長期間持続できないため、毎日継続的に摂取することを心がけてください。
GRØNのプロテインブレンドやスープには、ポリフェノールをはじめ様々な栄養素を含む素材を使用しています。