高齢者の体とプロテイン 〜栄養士のColumn Vol.48
9月20日は敬老の日。
敬老の日は、日頃伝えられない感謝の気持ちを贈ることができる特別な日です。
大好きなお爺ちゃんやお婆ちゃんの世代でもある、高齢者の体とプロテインについて今回はお話をします。
高齢者の方達の食生活のデータを見ると、健全な食生活を心がけている割合が多い一方で、栄養バランスの整った食事の出来ている人達の割合は、低い傾向にあります。
原因として考えられるのは、外食や簡易なお弁当・お惣菜で、食事を済ませている人の割合が多くあることが挙げられます。
また年を重ねてい中で、食欲が減り、食事を抜く回数が増えたり、食べることに対する関心が薄れ、毎日同じものを食べることが増えたりと、食生活は乱れがちになってしまいます。
こうした生活を続けると、身体を健康な状態に保つために必要な栄養が不足した状態、低栄養状態になってしまいます。
「低栄養」とは食事の量が減ることにより、体を動かすために必要なエネルギーやタンパク質、健康維持に必要なビタミンやミネラルなどの栄養素が不足した状態を指します。
低栄養の症状の中で、わかりやすいものが体重の減少です。
それ以外にも、免疫力の低下、むくみや抜け毛なども症状の一つとして挙げられます。
低栄養が続くと、加齢に伴い骨格筋量が低下し、健康障害を起こしやすくなった状態を指す「フレイル」へと進行します。
さらに加齢や疾患によって筋肉量が減少することで、全身の筋力低下が起こる「サルコペニア」や、運動器の障害のために移動機能の低下をきたす「ロコモティブシンドローム」を引き起こす可能性が高まります。
低栄養の症状が併発し、回復に時間がかかるようであれば、病院での検査をお勧めします。
医師の指導の下、食事の頻度、時間、分量、栄養のバランスへの配慮した食生活が求められます。
高齢者の「低栄養」では、特にエネルギーやタンパク質の不足が問題視されています。
食欲低下により食事の全体量が減ることに加え、エネルギー摂取の低下や、タンパク源となる、おかず類を食す量が減ることが原因として挙げられます。
また噛む力の衰えと共に、固い肉類を避け、柔らかいご飯やパン中心の食生活になり、必要とするタンパク質が不足するケースも考えられます。
こうしてタンパク質が不足することにより、高齢者は筋肉が衰え、前述の「フレイル」や「サルコペニア」へと陥りやすくなり、運動・認知機能の低下へとつながっていくのです。
このような高齢者のタンパク質不足は日本だけでなく世界的に問題視されており、食事ガイドラインの見直しが進められています。
その他に挙げられる、不足しがちな栄養素として、ビタミンD、B6、B12や、鉄、食物繊維、亜鉛やカルシウムなどのミネラルも挙げられています。
日本においては、高齢者のフレイル予防の観点から、65歳以上の総エネルギー量に占めるべきタンパク質由来エネルギー量の割合が、目標量の下限を13%エネルギーから15%エネルギーに引き上げられました。 (*参考: 厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」)
また、フレイルやサルコペニアの発症を予防するために、高齢者(65歳以上)では、1.0g/kg体重/日以上のタンパク質を摂取することが望ましいとされています。
加齢にともない骨格筋量は減少してしまう高齢者にとって、筋肉量の維持・増大の常用性は高く、そのために食事で良質なタンパク質を必要量摂取することは不可欠なことです。
また一度に沢山の量をとるのでなく、1日3食の食事の中で、適切に適量を摂取することが望ましいとされています。
各食事の主菜・副菜にタンパク質を多く含む肉・魚・卵・豆(豆腐・納豆)を積極的に摂り入れ、牛乳や乳製品も積極的に摂取することを心がけてみてください。
また、高齢者は一定量のタンパク質を摂取しても、筋肉をつくる能力が低下してしまう可能性があります。
そのため、摂取したタンパク質をきちんと体内へと取り入れるために、運動を習慣として行うことも重要視されています。
日頃からあまり食欲がない、食事だけでタンパク質の摂取をコントロールするのが難しい場合は、足りない分を補うためにプロテインを活用することも、 足りないタンパク質を補給する方法として挙げられます。
日々の食事のサイドメニューにプロテインを添えたり、運動好きな方には、身体を動かした後の摂取が抜群のタイミングです。
ただしタンパク質の過剰摂取は、腎臓の状態悪化を招く可能性がありますので、適量を守ることも大切です。
プロテインを上手に活用して、元気で健康的な毎日を。
いつまでも長生きしてほしい、大切なお爺ちゃんやお婆ちゃんの健康を気遣う中で頭に入れておいてほしい知識を紹介しました。
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栄養士・食育指導士・食の6次産業化プロデューサーlevel4
石原綾子
ヘルスケア分野での栄養指導、アグリビジネスのプロフェッショナル。
ミスワールド日本候補生に向けた講演会など、美や健康に特化した分野をフィールドに様々な活動を行なっている。
「食を通して心と身体を豊かにし、人と地域がつながる生き生きとした社会を実現する」を理念に掲げ2013年に、株式会社アイ・フィールドを設立、代表を務める。
各地域で野外レストランを開催する「DINING OUT」の食材TEAMや、ファッションブランドのプロジェクトに中心メンバーとして参画。
また、地域食材のPR、「健康」や「美容」に特化した商品開発プロデュース、ブランディング、コンセプト設計、食品衛生、販売促進プロモーション、研修企画運営等に携わっている。GRØNの商品開発では栄養面での監修を担当。消費者の健康に、より効果的に取り入れる方法を提案している。
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