マインドフルネスについて 〜栄養士のColumn Vol.47
乱れた心を整える、マインドフルネス
わたしたちは、社会の状況や自分の身の回りの変化など、毎日何かしらのストレスを受けています。
最近は特に、コロナウィルスなど生活様式の変化に対応することも増え、先の見えない不安が存在します。
そんな乱れた心を整えるために、マインドフルネスを行う方が増えています。
さまざまな分野で見直されているマインドフルネス
マインドフルネスは、もともと仏教の教えに由来した思想ですが、現在は、医療プログラムや教育、福祉、産業、スポーツの分野や企業でのビジネススキル向上、ストレスマネジメントやセルフマネジメントなどで積極的に用いられています。
マインドフルネスとは、過去の経験や先入観といった雑念にとらわれることなく、今現在の瞬間の現実に意図的に意識を向け、「今、瞬間の気持ち」「今ある身体の状況」を思考や感情にとらわれのない状態で、ありのままに受け入れ、ただ観ているという存在の在り方を実現するための訓練や、それによって身につけたスキルの総体を指します。
私たちが生きている中で、「自分の思い通りにならない」という事実があります。
また、考え方のクセで頭の中でマイナスな思考に囚われてしまうことがあります。
思い通りにならないことやネガティブな内容ばかりが頭を占めていると、不安、後悔、悲しみ、怒りでいっぱいになり、意識が過去や未来ばかりに向かいがちです。
リアルタイムに自分自身に気づきを向け、評価や判断を加えずにそのまま受け止め、手放すことがマインドフルネスです。
「今ここ」だけに意図的に意識を集め、自分の思考や感覚を観察し、ただ受け止め、観察することを心がけます。
マインドフルネスの状態に至るためには、ヨガのようなストレッチを取り入れたものや、頭に浮かんだことや心に思っていることをどんどん紙に書き出すジャーナリングなど、どの方法も「今、ここ」に集中します。
その中でも、最も代表的なものが瞑想です。
瞑想とは、歴史のある心身療法で、平穏感や身体のリラックス感を高めると言われています。
心身のバランスを整えるため、健康や幸福の増進のために利用されてきました。
多くの種類がありますが、その多くには共通するものがあります。
「できる限り雑念を払って静かにすること」「心地よい姿勢」「一つのことに集中すること(言葉や呼吸)」「判断しないこと」です。
マインドフルネス瞑想は「今に集中して、今の自分を受け入れる」瞑想で、一般的に広く普及しています。
行うときのポイントは、リラックスしやすい場所や物音が少なく、気が散りにくい場所で、身を整える、息を整える、ココロを整えることです。
瞑想の長さは、長い人だと数時間にも及びますが、初心者の場合には1分でも構わないそうです。
瞑想を実践しようとお考えの方は、是非参考にしてみてください。
瞑想を実践する
1. 体制を整えて、瞑想の準備をする
背筋を伸ばし、正座やあぐらなどのポーズで座ります。
椅子の場合は、座骨を座面にしっかりとくっつけて、骨盤を垂直に立てたイメージで腰掛け、背もたれに寄りかからず背筋を伸ばします。目を閉じて手は太ももの上に載せます。
2. 呼吸に意識を向けて、瞑想をはじめる
肩の力を抜いてリラックスし、呼吸に意識を向け、ゆっくりと息を吸い、ゆっくりと息を吐きます。
できれば腹式呼吸が理想的ですが、難しい場合は腹部の動きがイメージできるようにお腹に両手を当てながら自然な呼吸をします。
効果的な呼吸のペースとしては、吸うのも吐くのも3秒ずつが目安です。
過去や未来に心を迷わさせずに。
今の瞬間に起きている呼吸の感覚に注意を向けます。
空気が出入りするのを感じることに意識を向け、吸うときと吐くときの空気の感覚を感じてください。
途中で頭に何か浮かんできたら、呼吸に意識を戻します。
3. 自分へと意識を戻して、瞑想を終える
呼吸だけに集中させていた意識を、少しずつ自分そのものに戻していきます。
自分に意識が集中できたら、ゆっくりと目を開けて瞑想を終了します。
朝の瞑想は、心を落ち着かせ集中力を高めてくれます。
寝る前の瞑想は、睡眠の質を上げてくれます。
続けて実践することで、リラックス効果や自律神経が整いストレス軽減に役立つと言われています。
また、集中力を高める効果や脳がリラックスした状態となり、ネガティブからポジティブなマインドになれるとも言われています。
続いては、書く「瞑想」ジャーナリングを説明します。
ジャーナリングを実践する
ジャーナリングとは、3分~10分程度の時間で頭に思い浮かんだことを、思いついた順番に書き出していく方法のことです。
今の自分の気持ちを紙に書き出すことで、内面に向き合うことから、書く瞑想と言われています。
紙に書いた自分の発想や感情を言語化することで、自分を客観視し、自分と向き合い、心の底にある欲求や価値観を認識し、ありのままの自分を受け入れられるようになります。
気分をすっきりさせ、頭の中がリセットして整理整頓してくれる効果があります。
最後に、食べる「瞑想」マインドフルイーティングについて説明します。
マインドフルイーティングを実践する
会話もせず、テレビやスマホも見ず、ただ食べることだけに集中します。
目で食べ物の色や形を、手で食材の触感を、鼻で料理の香りを、耳で噛んでいる時の音を、舌で食べ物の噛み応えや舌ざわりを感じるなど、味覚・聴覚・触覚・嗅覚・視覚を使い「食事をする」ということに意識を向けます。
感情・精神の安定感や高い幸福感が得られ、ゆっくりと食事をすることになるので、血糖値も緩やかに上昇します。
マインドフルネスなライフスタイルを送るために、これらのことを続けることによって、ストレスや不安の軽減、感情のコントロール、集中力UPなど心を整えてくれる効果に期待ができます。
日々毎日忙しい方も、少しでも時間を作り、自分自身に向き合い実践してみてはいかがでしょうか?
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栄養士・食育指導士・食の6次産業化プロデューサーlevel4
石原綾子
ヘルスケア分野での栄養指導、アグリビジネスのプロフェッショナル。
ミスワールド日本候補生に向けた講演会など、美や健康に特化した分野をフィールドに様々な活動を行なっている。
「食を通して心と身体を豊かにし、人と地域がつながる生き生きとした社会を実現する」を理念に掲げ2013年に、株式会社アイ・フィールドを設立、代表を務める。
各地域で野外レストランを開催する「DINING OUT」の食材TEAMや、ファッションブランドのプロジェクトに中心メンバーとして参画。
また、地域食材のPR、「健康」や「美容」に特化した商品開発プロデュース、ブランディング、コンセプト設計、食品衛生、販売促進プロモーション、研修企画運営等に携わっている。GRØNの商品開発では栄養面での監修を担当。消費者の健康に、より効果的に取り入れる方法を提案している。
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