父の体と生活習慣病 〜栄養士のColumn Vol.42
まもなく父の日。
お父さんに、日頃の感謝の気持ちをしっかり伝える日でもあります。
父の日の起源は、さまざまな説が存在しますが、アメリカから始まったものと言われています。
日頃お仕事をしているお父さんの健康を考えてみましょう。
働き盛りの中高年以降になって特に気をつけなければならないのは、動脈硬化や高血圧、脳卒中、心筋梗塞などの「生活習慣病」です。
「生活習慣病」は食習慣や運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が、病気の発症・進行に関与する疾患群と定義されています。
大きな特徴として、初期段階には白覚症状がほとんどなく、気がついた時には病気がかなり進行しているケースが多く、一旦発症すると治りにくいのも特徴です。
その原因として、食生活や運動不足、喫煙や飲酒、休養をしていない等があげられます。
まずは、食生活を見直していただくことが大切なポイントです。
多忙な生活の中で食生活は不規則になりがちで、外食や中食が増えると脂質や食塩の過剰摂取や栄養のバランスの乱れが生じ、「生活習慣病」を招く原因となります。
<食事をする上で気をつける5つのポイント>
日々の生活のなかで気をつけるべき、食事のポイントを以下にまとめました。
① 脂肪を摂りすぎない
脂肪は体のエネルギーとなる大切な栄養素ですが、摂り過ぎは肥満を招き、体に悪影響を及ぼします。
② 野菜を1日に350グラム以上摂取する
野菜に含まれる食物繊維が満腹感を与え、食べ過ぎを防ぐだけでなく、ビタミンやミネラルの摂取もできます。
③ 食べ過ぎない
栄養バランスの良い食事で腹八分目を心がけます。
④ 食事の時間・間隔は規則正しく、1日3食
食事の回数を減らし、間隔を開けすぎた場合、脳へのエネルギー不足になるだけでなく、エネルギーをためこもうと食べ過ぎや太りやすい体質に。
規則正しく、1日3回の食事を心がけましょう。
⑤ 塩分に注意
高血圧の予防のためにも、食塩の摂取を抑えるとともに、野菜類やくだものに多いカリウムの充分な摂取も大切です。
<飲み過ぎには気をつける>
また、仕事のお付き合いなどでお酒を飲む機会が多くあると思います。
ある調査結果では、国内のアルコール消費量は減少傾向にあるものの、40歳代~60歳代の中高年世代は習慣飲酒率が高めの傾向にあるといいます。
中高年の習慣的な飲酒は、若いころから飲んでいるから大丈夫と思われがち。
また、長年の飲酒習慣により、若い時ほど酔いを感じず、飲みすぎが慢性化する傾向があるのですが、人間の体は逆に、中高年になるにつれてアルコールの影響を受けやすくなります。
個人差はあるものの、人は歳を重ねると、体内の水分量が減少するため、アルコールが体内に溶け込みにくくなり、同じ量のアルコールを飲んでも、血中アルコール濃度が高くなる傾向がみられます。
また胃粘膜も同様に、アルコールの分解・吸収機能が衰退するため、アルコールの影響を受けやすくなります。
こうしてアルコールの過剰摂取を重ねることで、生活習慣病を招くことはもちろん、様々な臓器障害を引き起こして肝臓にダメージを与えてしまうなど、健康リスクへとつながっていきます。
また、アルコール依存症やうつなどのメンタルへの影響もあります。
お酒には、ストレス解消、コミュニケーションツールの役割がありますが、中高年の多量な飲酒の場合、健康被害に関わってしまうことも理解した上で、自分の適量を見直すことや休肝日を設けるなど、良い付き合い方を心がけることが重要です。
<お酒を飲むときは、タンパク質と野菜を一緒に>
また、飲酒のときには、食事にも気を配ることがポイントです。
空腹状態でアルコールを飲むと、胃を素通りして小腸で吸収されます。
つまり、吸収が早まり血中濃度も急速に高くなります。
食べながらお酒を飲むことで、胃の粘膜の上に食べ物の層ができるので胃が守られ、食べ物と一緒に小腸に送られたアルコールはゆっくり吸収され、肝臓への負担も少なく、アルコール血中濃度の急激な上昇も起こりにくくなります。
お酒を飲むときにオススメな食べ物は、たんぱく質や野菜です。
たんぱく質や野菜に含まれるビタミン類はアセトアルデヒドの分解を促し、肝臓の働きを助けるので欠かせません。また、飲酒によって肝臓はダメージを受けやすくなるため、肝臓の保護のためにもオルチニンやタウリンを含むしじみやタコ、イカなどもおススメです。
<適度な運動は万病の薬>
食事以外でも生活の中での注意点があります。
特に中高年の方の運動不足は、生活習慣病の増加と深い関係があることが明らかにされています。
便利になった現代社会ですが、それに伴い歩く機会も少なくなり、運動不足となりがちです。
ですが、運動によって血管を健康な状態に保てば動脈硬化を防ぐことができ、心筋梗塞や脳卒中などのリスクを減らすことにつながります。
同時にメタボリックシンドロームも解消することにもなります。
適度な運動には、肥満防止だけでなく、体力や心肺機能の向上、ストレス解消など、さまざまな効果が期待できます。階段を利用するなど、まずは身近なところから体を動かす習慣をつけることが良いと思います。
<筋肉の減少が招く、基礎代謝の低下>
このように、生活習慣病予防をするライフスタイルを過ごすことがとても大切ですが、中高年の男性が抱えがちなお悩みとしては、中年太りが多いようです。
食事の内容、お酒の飲みすぎや運動不足なども考えられますが、原因のひとつとして挙げられるのが基礎代謝の低下です。
基礎代謝は、じっとしていても消費できるエネルギーのことですが、これが低下することによって脂肪が燃焼しにくくなってしまいます。
若いころは筋肉量もあるため、基礎代謝も高く、少し動いただけでも大きくエネルギーを消費できていたと思います。
しかし、筋肉量が下がると基礎代謝も下がるため、中年になるとどんどん太ってきてしまう…という事態に陥るのです。
<基礎代謝を高めるための食事>
基礎代謝を高める食べ物をいくつかご紹介します。
まず、カラダを温める成分であるカプサイシン(唐辛子、チリペッパーなど)やショウガオール(生姜)、硫化アリル(ネギ、玉ねぎ、にんにく、ニラ)、ビタミンE(かぼちゃ、さつまいも、うなぎ、アーモンド、ゴマ)を意識して摂取することです。
また、代謝を高めるアミノ酸であるリジン(魚介類、肉類、レバー、牛乳、チーズ、大豆)やアルギニン(鶏肉、豚肉、カツオ、大豆)、アラニン(鶏肉、シジミ、帆立、イカ、サワラ、鮭、シラス、アジ)なども積極的に意識しましょう。
タンパク質は、アミノ酸が多数つながって構成されている高分子化合物ですので、食事からが難しい方はプロテインなどを上手に摂り入れていくこともおススメです。
それ以外にも、代謝をサポートするビタミンB群や代謝を促進するヨウ素も積極的に摂取していただくこともポイントです。
<中年太りの放置は危険>
中年太り(=肥満)と生活習慣病は、密接な関係があります。
また、これらの病気が重複して発症するメタボリックシンドロームへも繋がっていきます。
肥満を放置していると、生活習慣病の悪化を招き、血管を傷つけ、動脈硬化を引き起こすこともあります。
最悪の結果として、心筋梗塞や脳卒中など重大な病気へと至る可能性があるので、十分な注意が必要です。
生活習慣病や肥満予防をサポートしてくれるたんぱく質。
お父さんがいつまでも元気でいてほしい。
生活習慣病や肥満予防をサポートしてくれるたんぱく質。
そんなお母さんへ手軽においしくタンパク質をとれる【植物性プロテインでスーパーフード配合のGRØN】をプレゼントしてみるのも良いですね。
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栄養士・食育指導士・食の6次産業化プロデューサーlevel4
石原綾子
ヘルスケア分野での栄養指導、アグリビジネスのプロフェッショナル。
ミスワールド日本候補生に向けた講演会など、美や健康に特化した分野をフィールドに様々な活動を行なっている。
「食を通して心と身体を豊かにし、人と地域がつながる生き生きとした社会を実現する」を理念に掲げ2013年に、株式会社アイ・フィールドを設立、代表を務める。
各地域で野外レストランを開催する「DINING OUT」の食材TEAMや、ファッションブランドのプロジェクトに中心メンバーとして参画。
また、地域食材のPR、「健康」や「美容」に特化した商品開発プロデュース、ブランディング、コンセプト設計、食品衛生、販売促進プロモーション、研修企画運営等に携わっている。GRØNの商品開発では栄養面での監修を担当。消費者の健康に、より効果的に取り入れる方法を提案している。
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