生理不順と更年期障害 〜栄養士のColumn Vol.27
最近むくみやすいなぁ、肌荒れやニキビができている・・・と思うそんなとき。生理の時期だったという経験はありませんか?
女性のカラダにはリズムがあり、生理や妊娠はもちろん、カラダとココロはホルモンバランスによって大きく左右されます。
生理のリズムは、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)という2つの女性ホルモンの分泌で生まれています。
1. 卵胞ホルモン(エストロゲン)とは
子宮に作用して、受精卵のベッドとなる子宮内膜を厚くする働きをするホルモンです。
また、女性らしさを作るホルモンとして、乳房の発達、皮膚、骨、筋肉、脳、自律神経などの働きにも関係しています。
ツヤツヤでハリのある肌を保ったり、骨粗鬆症などの生活習慣病から身を守ったりもしてくれるホルモンです。
思春期から分泌量が多くなり、30代でピークに達し、更年期になると減少します。
2. 黄体ホルモン(プロゲステロン)
子宮内膜を受精卵が着床しやすいように整え、妊娠を助けるホルモンです。
また、体温を上昇させる働きがあります。
妊娠した場合は分泌が続き、赤ちゃんが育ちやすい子宮環境を整えます。
妊娠していなければ分泌量が減少し、子宮内膜を体外に排出させるのを助けます。
生理中は、プロゲステロンがたくさん出ているので、むくみやすくなったり、たくさん食べたくなったり、眠くなったりすることも。
ホルモンによって、女性のカラダとココロへも影響します。
生理前の時期は、黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響が強く現れます。
むくみや便秘、頭痛などの症状や、ココロはなんだかイライラする、不安になるなどあまりよくない状態です。
生理3~10日位前に始まる、さまざまなカラダとココロの不調はPMS(月経前症候群)とも呼ばれています。
<カラダにあらわれる症状>
胸やお腹の張り・便秘・頭痛・肩こり・むくみ・肌荒れ・体重増加・疲れやすい・食欲不振・過食・不眠・過眠など
<心にあらわれる症状>
イライラ・怒りやすい・無気力・憂鬱・集中力低下・気分の不安定など
生理中の時期は、体温を上げる作用のある黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌がなくなり、体温が下がって身体が冷え血行が悪くなります。
頭痛や貧血気味になり身体のだるさも感じたことがある方は多いかと思います。
ココロもなんだかだるく感じる時期ですよね。
生理が終わりに近づくと卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が始まり、だんだんと気分が晴れていきます。
生理後は、排卵日までに女性らしさを引き出す卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が高まり、肌や髪がきれいになったり、ココロも晴れやかです。
<正常な生理の周期について>
女性ならではのからだの仕組みをコントロールしている2つのホルモンが働いて、生理のリズムを作っています。
一般的に生理周期は約4週間(28~30日)を1サイクルとし、生理が始まってからおよそ14日目に排卵が起こります。
周期は25~38日間。
ずれても予定日の前後2~5日程度なら正常と言われています。
ただ、精神的なストレスや風邪薬を飲んだり、生活習慣が乱れたりすると、1週間ぐらいずれることもあります。
生理の期間は3~7日間と言われています。
だいたい2~3日目が多く、4日目以降は減少していきます。
これは、あくまで正常な生理の目安ですので、量が多いなとか周期が短いななどの不安がある方は、一度、婦人科で診察してもらうことをおススメします。
こういったサイクルと向き合いながら生活している女性は、カラダ、ココロともに本当にデリケートですよね。
特に生理前のPMSの症状は本当につらい方が多いと思います。
PMSの原因ははっきりとわかっていませんが、女性ホルモンの分泌変動により、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことが原因として考えられていますが、ストレスなどの影響も受けるため、PMSには多くの要因が関わっているとされているそうです。
<整えるための食事>
症状を少しでも改善するためには、1日3食を規則正しく食べることが大切と言われています。
例えば、欠食することで、脳のエネルギー不足になり、集中力やパフォーマンスの低下に繋がってしまうことも。
食欲がない時でも、ヨーグルトやバナナ、スムージーなどストレスなく食べられるものを出来るだけ口にしておきましょう。
また、カフェインやお酒も控えた方が良いとされています。
生理前は、コーヒーや紅茶などのカフェインが含まれるものを減らしたり、お酒も適量を超えないようにしたりと、カラダを考えた食生活を送ることが大切です。
<PMS(月経前症候群)改善におすすめな栄養素>
つづいてPMSの症状を和らげると言われる栄養素について説明していきます。
a. マグネシウム
マグネシウムは、筋肉の収縮や神経情報の伝達、体温・血圧の調整に役立つ栄養素です。
食材)そば・ほうれん草・ひじき・バナナ・アーモンド・納豆・あさりなどに多く含まれています。
b. カルシウム
カルシウムは、丈夫な骨を保つ働きだけではなく、筋肉の収縮、神経が脳と他の体の部分との間でメッセージをやり取りするのに必要な栄養素です。
食材)牛乳・チーズ・ヨーグルト・豆腐・ちりめんじゃこ・煮干し・小松菜・ほうれん草などに多く含まれています。
c. ビタミンB6
ビタミンB6は、神経伝達物質の代謝を助けたり、ホルモン調節に関わったりする働きがあり、ココロのケアや、お腹の張りなどを緩和できることがいくつかの研究で示されています。
食材)まぐろ・カツオ・いわし・レバー・玄米・アボカド・バナナなどに多く含まれています。
d. トリプトファン
「幸せホルモン」とも言われるセロトニンの材料となるアミノ酸です。セロトニンが低下すると、イライラ、不安、気分の落ち込みなどの症状を引き起こすと言われています。
食材)牛乳・チーズ・きなこ・大豆・豆腐・鶏むね肉・鶏ささみ・豚ヒレ肉などに多く含まれています。
<PMS(月経前症候群)改善に向けて心がけること>
食事だけでなく、適度な運動やストレッチを行ったり、睡眠をしっかりと取ることなど、規則正しい生活を意識することも大切です。
生理不順の原因は、生理の周期を作っている2つの女性ホルモンが乱れてしまっていることですが、ホルモン分泌量が増える10代の思春期と、分泌量が減る50歳前後の更年期に、ホルモンバランスは乱れがちになります。
一般的に20〜30代は、ホルモンバランスが安定するといわれますが、実は不調で悩む人が増えています。
不規則な生活、過度なダイエット、激しい運動、強いストレスなどにより、ホルモンバランスが崩れ、生理周期が乱れてしまいます。
また、薬の副作用も生理が遅れる原因のひとつと言われていますので、いつもと違う生理の遅れを感じたら、すぐに病院で受診されることをおススメします。
生理不順の場合、食事の観点からは、まず鉄分摂取の見直しをしてみることがおススメです。
鉄分不足は、生理不順の原因になりえます。
もともと貧血気味の方は特に鉄分を意識的に摂るようにしましょう。
またその他にも、エストロゲンの代謝に関わったり、ホルモンバランスを整えるビタミンB6や、血液循環を改善し結構を良くするビタミンE、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをするイソフラボンを積極的に摂取することが大切です。
<更年期障害について>
女性ホルモンの分泌量は、一生の中でも変動します。
思春期が近づくとエストロゲンの分泌が増加しはじめ、初潮を迎えます。
20〜30歳代は、女性ホルモンが最も安定する成熟期。
閉経前後の更年期では女性ホルモンが急激に減少し、その変化にココロとカラダがついていけない場合には、不調も起こるようになります。
閉経をはさんだ前後5年、約10年間の時期を指します。
50歳すぎに閉経する人が平均だと言われており、一般的には45歳〜55歳くらいの時期と考えられています。
更年期障害は、閉経にともない卵巣機能が低下し、エストロゲンの分泌量が急激に減少することで起こります。
今までエストロゲンによって調節されていた体のさまざまな機能は、エストロゲンの分泌量が減ることで、うまくは働かなくなります。
またエストロゲンの低下を察知した脳は、卵巣に対し、もっとエストロゲンを分泌するように指令を出すのですが、機能が低下した卵巣からは十分なエストロゲンが分泌されないため、ホルモンバランスの乱れが生じ、血行や消化吸収、体温調節などをコントロールしている自律神経の調節がうまくいかなくなります。
自律神経は、「交感神経」と「副交感神経」の2つに分けられ、交感神経は、心拍数をあげたり血管を収縮させたりするなど体をアクティブにする働きを持ち、副交感神経は、心拍数を下げ血管を拡張させるなど体をリラックスさせる働きをつかさどっています。
これに、加齢にともなうカラダの変化や、ココロの変化などが複合的に影響することで、更年期障害があらわれます。
具体的な更年期障害の症状は、のぼせ・顔のほてり・動悸・発汗・頭痛・めまい・肩こり・腰痛・関節痛・疲れやすい・足腰の冷えなどです。
ココロの症状は、イライラ・不安感・不眠・気分の落ち込み・気力の低下などです。
また、更年期を境にして、脂質異常症、高血圧、動脈硬化、骨粗鬆症などのリスクが増えると言われています。
生活習慣病の対策として、食事や運動習慣の見直しも大切です。
また、肥満のある女性は、食事や運動の改善によって更年期障害の症状が改善されるとも言われています。
<更年期障害と心がけて摂取する栄養素>
積極的にとりたい栄養素は、女性ホルモンと似た働きをする成分として注目されている大豆イソフラボンや、神経の働きを正常に保つビタミンB群、女性ホルモンの分泌を活性化させる亜鉛、腸内環境を良くし、免疫力の向上や自律神経の調節に繋がる食物繊維などです。
更年期は誰もが迎えるカラダの変化ですが、薬物療法や心理療法、食事療法、運動療法など、正しい知識を持って、自分のカラダやココロに耳をかたむけ前向きな気持ちが大切になります。
毎日の生活の中で、意識した食を摂り入れることをしてみてはいかがでしょうか?
GRONは大豆をベースにビタミン・ミネラルなどを豊富に含むスーパーフードをプラスした植物性プロテインです。
ライフスタイルの中にとりいれて、体調管理を食からサポートするのもおススメです。
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栄養士・食育指導士・食の6次産業化プロデューサーlevel4
石原綾子
ヘルスケア分野での栄養指導、アグリビジネスのプロフェッショナル。
ミスワールド日本候補生に向けた講演会など、美や健康に特化した分野をフィールドに様々な活動を行なっている。
「食を通して心と身体を豊かにし、人と地域がつながる生き生きとした社会を実現する」を理念に掲げ2013年に、株式会社アイ・フィールドを設立、代表を務める。
各地域で野外レストランを開催する「DINING OUT」の食材TEAMや、ファッションブランドのプロジェクトに中心メンバーとして参画。
また、地域食材のPR、「健康」や「美容」に特化した商品開発プロデュース、ブランディング、コンセプト設計、食品衛生、販売促進プロモーション、研修企画運営等に携わっている。GRØNの商品開発では栄養面での監修を担当。消費者の健康に、より効果的に取り入れる方法を提案している。
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