薬としてのお茶 Tea as Medicine (お茶の歴史) 〜栄養士のColumn Vol. 13(前編)〜
「薬」としてのお茶
日本人の生活に古くから根付いてきたお茶という飲み物。
そんなお茶を「薬」という目線で、その歴史について今回はお話します。
食事を食べるとき。
お菓子を食べるとき。
落ち着きたいとき。
もてなすとき。
日本ならではの「おもてなし」の中にはお茶がいつも存在しているように感じます。
お茶の歴史-中国-
お茶のはじまりは中国。
中国の歴史の中で、お茶が登場するのは、「神農」の逸話からとか。
神農は、野草とお茶の葉を食べて解毒をしていたと伝えられていて、この伝説から、お茶の発見は紀元前2700年ごろ、神農時代からと考えられています。
薬としてお茶が飲まれていたんですね。
その後、漢の時代の医学書『神農本草経』には、「茶味苦、飲之使人益思、少臥、軽身、明目」の記述があり、このころからお茶を日常的に飲む習慣があり、主に上流階級に嗜好品として愛飲されるようになっていたようです。
また、三国時代の書物「広雅」によると、お茶は茶の葉を餅状に丸めたものを、あぶって搗き、湯をかけ、みかんの皮、ねぎ、しょうがなどと混ぜて、一緒に煮るスタイルの薬膳スープのように飲まれていたようです。
唐の時代になると、お茶を飲む習慣は全国に広がり、清の時代では、中国茶葉や茶具はほぼ完成し、茶文化は最盛期を迎えます。福建省では青茶(烏龍茶)が開発され、「花茶」とともに愛飲されるようになったそうです。
お茶の歴史-日本-
一方日本では、中国の進んだ制度や文化を学び、取り入れようとしていた奈良・平安時代に、遣唐使や留学僧によってもたらされたと推定されています。
平安初期の『日本後記』には、「嵯峨天皇に大僧都永忠が近江の梵釈寺において茶を煎じて奉った」と記述されていて、鎌倉時代になると、臨済宗の開祖である栄西が、中国・宋に渡って禅宗を学び、禅院で飲茶が盛んに行われているのを見聞きしたそうで、帰国後、日本初の茶の専門書「喫茶養生記」を著し、お茶の効能を説きました。
「喫茶養生記」の中には、お茶を飲むと心臓が丈夫になり、二日酔いに効き、病気にもかからない「お茶は養生の仙薬なり」と書かれていたとか。
日本でお茶が薬用として飲まれていた頃、甘味料のひとつである甘葛を入れたり、生姜で辛味をつけていたようです。
嗜好用として一般に広まったのは、江戸時代の初期からと聞きます。
スーパーフードとして
そんな「薬」として使われてきた歴史を持つ、お茶という存在。
その中でも抹茶は、昨今スーパーフードとして世界中から注目を集めています。
*GRØNのプロテインブレンド 抹茶オールスターズにも使われている抹茶。(2020年4/4追記)
後編では、抹茶についてのお話をさせて頂きます。
<登場したGRØNの製品>
栄養士のColumn Vol. 13 〜薬としてのお茶 Tea as Medicine (後編: 抹茶の栄養素)
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栄養士・食育指導士・食の6次産業化プロデューサーlevel4
石原綾子
ヘルスケア分野での栄養指導、アグリビジネスのプロフェッショナル。
ミスワールド日本候補生に向けた講演会など、美や健康に特化した分野をフィールドに様々な活動を行なっている。
「食を通して心と身体を豊かにし、人と地域がつながる生き生きとした社会を実現する」を理念に掲げ2013年に、株式会社アイ・フィールドを設立、代表を務める。
各地域で野外レストランを開催する「DINING OUT」の食材TEAMや、ファッションブランドのプロジェクトに中心メンバーとして参画。
また、地域食材のPR、「健康」や「美容」に特化した商品開発プロデュース、ブランディング、コンセプト設計、食品衛生、販売促進プロモーション、研修企画運営等に携わっている。GRØNの商品開発では栄養面での監修を担当。消費者の健康に、より効果的に取り入れる方法を提案している。
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Photos by Moeko Sawada