災害食に必要な栄養素 〜栄養士のColumn Vol.64
日本に暮らす人々は、美しく豊かな自然に恵まれ多くの恩恵を受けています。
一方で、日本は災害大国でもあり、地震や津波、火山活動など自然災害の脅威から避けられないのが現実です。
7月から秋にかけて毎年やってくる台風、そして豪雨による風水害、近い将来かならず来ると言われている大地震など心配は尽きません。
私たちが自然災害のリスクに対してできること、それは備えることです。
突然の災害によって、いつ自分が避難する立場になるか分かりません。
救助が来るまでの間、自宅に帰るまでの間、何が必要かを想定しておかなければなりません。
万が一の時に必要な、備蓄しておくべき災害食。
今回は、そんな「災害食」についてお話していきます。
考えられる災害時の状況
非常事態となる災害直後。
万が一、大災害になった時は、電気・ガス・水道・通信・交通などのライフラインが止まります。
当然ながらコンビニエンスストアやスーパーマーケットは閉まり、普段通りの食料はおろか、水すら入手困難になります。
ライフラインが復旧するまでにかかると言われている時間は、一般的に3日間。
この時間を繋ぐ食料や水が必要です。
準備しておくべき災害食
有事に備えておくべきもの。
まずは水。
最低限の飲水、生活で必要となる水をペットボトルなどで保管しておくことが大切です。
次に食品。
水やお湯があればすぐに食べられるアルファ化米、乾パン、缶詰、レトルト食品、インスタント食品、昆布、干物、燻製、塩漬け、酢漬け、漬物、ジャムなど。
長期間保存が出来て、すぐに食べられるものが推奨されています。
災害が多い日本では、バラエティ溢れる非常食がラインアップされています。
最近ではキャンプや登山など、アウトドアシーンで非常食を活用している方も多いそうです。
工夫次第で、賞味期限が切れる前に無駄なく商品を入れ替えることが出来ます。
そして大切なのが備える災害食の量。
ライフラインの復旧状況にもよりますが、基本的に考えられているのが最低3日分、余裕があれば1~2週間分備蓄しておくと安心です。
心がけたい災害時のポイント
1つ目に心がけたいポイントはアレルギー
アレルギー持ちの方は、余裕を持って自身のアレルギーに対応した災害食をストックしておくことをお勧めします。
子供たちのアレルギー率が上昇しているにもかかわらず、大半の災害食はアレルギー対応ではありません。
実際に東日本大震災の際にも救援物資の中にアレルギー対応のものが少なく、アレルギー持ちの方の食事問題が生じていました。
2つ目の心がけたいポイントは栄養素。
災害時は生鮮食品が手に入りづらいため、インスタントフードや缶詰などの加工食品ばかりで栄養が偏りがちです。
ビタミン、ミネラルなどの栄養素や食物繊維が不足すると、健康被害が出てくる可能性もあります。
災害発生後の数日間は、生命維持に不可欠なエネルギー補給を最優先し、ライフラインが復旧した後には、偏った栄養バランスをどう整えるかが重要となります。
そのためにも、どんな食品が備蓄食になるのか、その食品にはどんな栄養素があるのかを知り、ローリングストックを習慣化することが大切です。
ローリングストックとは、普段から加工食品などの非常食を購入しておき、賞味期限を考えて古いものから消費し、消費した分を買い足すことで、常に一定量の食料を家に備蓄しておく方法です。
先述したアウトドアでの利用も、一つのローリングストックの手法。
週末のアクティビティや日常生活で消費しながら備蓄することで、無理なく無駄なく安心して食料品の備蓄ができるのです。
災害食と栄養素
つづいて、栄養素を考慮した非常食の一覧。
日々のローリングストック選びの参考にしてみてください。
【たんぱく質】
たんぱく質は、筋肉や臓器の構成、ホルモンや免疫成分の生成など、体内の健康を維持するために重要な栄養素です。
筋力向上機能を持つ栄養素として知られていますが、肝機能や精神安定機能にも関係しているため、不足すると心身ともに弊害が出ます。
<災害食にもなるたんぱく質を補えるもの>
肉・魚・豆などの缶詰、レトルト食品、フリーズドライ、乾物(鰹節や煮干し)、ロングライフ牛乳、プロテイン など
【糖質】
糖質が不足すると疲れやすく、脳がうまく働かずボーっとしてしまいます。
災害時のストレスからくる精神的なダメージも、エネルギーとなる糖質不足が原因となっている可能性があります。
<災害食にもなる糖質を補えるもの>
アルファ化米、パックごはん、餅、干いも、乾麺、缶パン、チョコレート、クラッカー、シリアル、羊羹、はちみつ など
【脂質】
エネルギー源であり、体の細胞膜や神経組織、ホルモンの材料にもなるのが脂質です。
摂りすぎには注意が必要ですが、糖質でエネルギーが補えない場合には脂質を積極的にとりましょう。
<災害食にもなる脂質を補えるもの>
菜種油、大豆油、ごま油、MCTオイル、オリーブオイルなど
【ビタミン】
栄養素が働くための補助的な役割をするのがビタミンやミネラル。
免疫機能を上げるので、災害時に起こりやすい感染症から体を守ることにつながります。
体内で生成ができないため、食事からの摂取が必須です。
<災害食にもなるビタミン・ミネラルを補えるもの>
野菜缶詰、野菜・果物ジュース、果物缶詰、乾燥野菜、ドライフルーツ、梅干し など
【ミネラル】
身体の臓器や組織のいろいろな反応を円滑に働かせるために必要な栄養素。
体内組織の反応や臓器の働きを助ける役割があります。
ビタミン同様に食事から摂取する必要があります。
マルチビタミン・ミネラルなどのサプリメントを活用していくことで、ビタミン・ミネラル不足を補うことができます。
【水】
体の半分以上は水でできています。
水分が不足すると、のどの渇き、イライラ、疲労、呼吸困難、けいれん等、体内でさまざまな問題が発生します。
ライフラインの停止に備えて、必ず備蓄しておきましょう。
おすすめの万能な災害食
災害時には、上記の栄養素がバランスよく入った食料をストックすることが効率的でお勧めです。
青汁やエナジーバー、最近人気のスーパーフードが入ったプロテインブレンドなどが一例です。
また、災害規模によっては難しいかもしれませんが、お湯を注ぐだけで手軽に作れるスープなども理想的な食材の一つです。
あたたかいものは体温維持に効果的ですし、何より気持ちを温めてくれます。
ゆっくりと体と心を温めるためにも、保温できるタンブラーなども準備しておくといいかもしれませんね。
自然災害は、いつ起こるか分からないもの。
空腹を満たすことも大切ですが、栄養バランスを考慮しながら災害食を準備することが重要だとお伝えできればと思いました。
少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
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栄養士・食育指導士・食の6次産業化プロデューサーlevel4
石原綾子
ヘルスケア分野での栄養指導、アグリビジネスのプロフェッショナル。
ミスワールド日本候補生に向けた講演会など、美や健康に特化した分野をフィールドに様々な活動を行なっている。
「食を通して心と身体を豊かにし、人と地域がつながる生き生きとした社会を実現する」を理念に掲げ2013年に、株式会社アイ・フィールドを設立、代表を務める。
各地域で野外レストランを開催する「DINING OUT」の食材TEAMや、ファッションブランドのプロジェクトに中心メンバーとして参画。
また、地域食材のPR、「健康」や「美容」に特化した商品開発プロデュース、ブランディング、コンセプト設計、食品衛生、販売促進プロモーション、研修企画運営等に携わっている。GRØNの商品開発では栄養面での監修を担当。消費者の健康に、より効果的に取り入れる方法を提案している。
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