グルコースとフルクトースの違いとは?糖質の働きと運動時の補給方法〜栄養士のColumn Vol.170
「糖質」と聞くと、太る、血糖値が上がる、できれば控えたい。そんなイメージを持つ人も多いかもしれません。
しかし、糖質は脳や筋肉を動かすための重要なエネルギー源です。
特に運動時には、持久力やパフォーマンスを維持するうえで欠かせない栄養素のひとつです。
ひとくちに糖質といっても、その種類や体内での代謝の仕組みはさまざま。
なかでもスポーツ栄養学で注目されているのが、「グルコース(ブドウ糖)」と「フルクトース(果糖)」の組み合わせです。
同じ糖でも、吸収や代謝の経路には違いがあります。
その特徴を知ることで、日常の食事から運動時のエネルギー補給まで、目的に合わせた糖質の摂り方を考えられるようになります。

グルコースとフルクトースの違いとは?
🟢 グルコース(ブドウ糖)の働き
グルコースは、日本語で「ブドウ糖」と呼ばれる単糖の一種です。
ごはんやパン、麺類、芋類などに含まれるでんぷんは、消化される過程で主にグルコースなどの単糖に分解されます。
小腸から吸収されたグルコースは血液中に入り、全身の細胞でエネルギー源として利用されます。
また、すぐに使われなかった分は、グリコーゲンという形で主に肝臓や筋肉に蓄えられます。
肝臓のグリコーゲンは血糖値の維持に、筋肉のグリコーゲンは主に筋肉自体のエネルギー供給に関わります。
運動時には、こうしたエネルギーの蓄えが筋肉を動かすために使われます。
🔴 フルクトース(果糖)の働き
一方、フルクトースは「果糖」と呼ばれる単糖です。
果物やはちみつなどに含まれています。
フルクトースも小腸から吸収されますが、グルコースとは異なる輸送経路を利用します。
吸収された後は主に肝臓で代謝され、グルコースや乳酸などに変換されたり、エネルギーとして利用されたりします。
フルクトースは、グルコースと比べて血糖値を直接上昇させにくいという特徴があります。
ただし、それだけで健康的な糖質と判断できるわけではありません。
糖分を多く含む飲料などから大量に摂り続けると、エネルギーの過剰摂取につながる可能性があります。
一方、果物には水分や食物繊維、ビタミン、ポリフェノールなども含まれています。
フルクトースという一成分だけを見て、果物そのものを避ける必要はありません。
大切なのは、糖の種類だけで良し悪しを判断するのではなく、何から、どのくらい、どのような場面で摂るかを考えることです。
グルコースとフルクトースを組み合わせる理由
グルコースとフルクトースを組み合わせる方法は、長時間の持久系運動における糖質補給で活用されています。
その理由のひとつが、小腸での吸収経路の違いです。
グルコースは主にSGLT1という輸送体を介して吸収され、フルクトースは主にGLUT5という別の輸送体を介して吸収されます。
異なる経路を利用する糖質を組み合わせることで、グルコースだけを摂取する場合と比べて、運動中に体外から取り込んだ糖質をより多くエネルギーとして利用できる可能性があります。
特に、長時間の運動で多くの糖質を補給する必要がある場合には、この組み合わせが役立ちます。

糖質の配合比率は「2:1」から「1:0.8」へ?
持久系スポーツでは、グルコースとフルクトースを「2:1」の比率で組み合わせる方法が広く研究されてきました。
近年は、長時間の運動で高い糖質摂取量が求められる場面を中心に、「1:0.8」、つまりグルコース1に対してフルクトース0.8程度の配合も研究されています。
こうした配合は、糖質の利用効率や胃腸への負担などの観点から検討されています。
ただし、すべての人や運動に共通する最適な比率が決まっているわけではありません。
例えば、短時間の運動と、マラソンや長時間のサイクリングでは、必要なエネルギー量も補給方法も異なります。
運動の時間や強度、食事の状況、胃腸の耐性などに応じて、適切な糖質の量や組み合わせを考えることが大切です。
また、運動中に必要な糖質を補う場合でも、必ずしもエナジージェルなどの専用製品が必要になるわけではありません。
運動の内容や時間に応じて、食事や飲料を含めた補給方法を選びましょう。

エナジージェルとは?運動中の糖質補給に役立つ理由
マラソンやサイクリングなどの持久系スポーツで活用されるエナジージェルは、運動中に必要な糖質を手軽に補給するための食品です。
少量で糖質を摂取できるよう設計されており、走行中や競技中など、通常の食事を摂りにくい場面でも利用できます。
エナジージェルには、糖質のほか、ナトリウムなどの電解質やカフェインが配合されている製品もあります。
配合成分によって役割が異なるため、特徴を理解して選ぶことが大切です。
糖質:運動中のエネルギーを補給する
運動を続けると、筋肉や肝臓に蓄えられたグリコーゲンが消費されます。
長時間の運動では、運動前に蓄えたエネルギーだけでは不足することがあるため、運動中に糖質を補給することがパフォーマンスの維持に役立ちます。
一般的に、1〜2.5時間程度の持久系運動では、運動の強度などに応じて1時間あたり30〜60g程度の糖質摂取が目安として用いられます。
さらに長時間の運動では、糖質の種類や摂取量を調整することが重要になります。
ただし、必要量には個人差があり、運動時間や強度、体格、トレーニング状況などによって異なります。
電解質:汗で失われる成分を補う
ナトリウムなどの電解質は、体液のバランスや神経・筋肉の働きに関わる成分です。
運動中は汗とともに水分やナトリウムが失われるため、運動時間や発汗量に応じて、水分と電解質を補給する必要があります。
ただし、必要な補給量は気温や運動強度、発汗量などによって異なります。
ジェルに電解質が含まれていても、水分補給が不要になるわけではありません。
マグネシウム:日頃の食事から不足を防ぐ
マグネシウムは、筋肉や神経の正常な働き、エネルギー代謝などに関わるミネラルです。
一部のエナジージェルにも配合されていますが、運動中に摂取すれば、すぐに脚のつりを防げるというわけではありません。
まずは日頃の食事から必要量を確保することが基本です。
カフェイン:覚醒度や疲労感に関わる成分
カフェイン入りのエナジージェルは、運動時の覚醒度やパフォーマンスをサポートする目的で利用されることがあります。
ただし、効果の感じ方には個人差があります。
摂りすぎると、動悸や胃の不快感、不安感、睡眠への影響などが生じる可能性があるため、摂取量には注意が必要です。
エナジージェルを選ぶ際は、糖質の量だけでなく、電解質やカフェインの配合量、水と一緒に摂取する必要があるかどうかも確認しましょう。
また、本番で初めて試すのではなく、練習中に摂取量やタイミング、胃腸との相性を確認しておくことも、運動時の栄養管理の一部です。
糖質を上手に摂るには?日常と運動時で考えたいこと
糖質補給の目的は、甘いものを無制限に摂ることではありません。
日常の活動や運動に必要なエネルギーを、適切なタイミングと方法で補うことです。
日常の食事では、ごはんや穀物、芋類、豆類、果物などを取り入れながら、食物繊維やタンパク質なども組み合わせ、バランスのよい食事を心がけましょう。
一方、マラソンや長時間のサイクリングなどでは、運動中のエネルギー消費に応じて、グルコースとフルクトースを含む飲料やエナジージェルなどを活用する方法があります。
そして、運動後の食事では、消費したエネルギーを補う糖質に加え、筋肉などの体組織を構成するタンパク質も意識したい栄養素です。
植物性タンパク質とさまざまな植物素材をブレンドしたGRØNのプロテインも、運動後や忙しい日の栄養補給に取り入れられます。
例えば、バナナやベリー、オーツなどと組み合わせれば、糖質と植物性タンパク質を一緒に摂れるスムージーに。
日々の食事の内容や活動量に合わせて、取り入れ方を工夫するのもおすすめです。
糖質は、ただ避けるべきものではありません。大切なのは、自分の活動や目的に合わせて、種類や量、摂取するタイミングを考えること。
毎日の食事から運動時のエネルギー補給まで、糖質とタンパク質を上手に組み合わせながら、健やかに動き続けるための食習慣を整えていきましょう。
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栄養士・食育指導士・食の6次産業化プロデューサーlevel4
石原綾子
ヘルスケア分野での栄養指導、アグリビジネスのプロフェッショナル。
ミスワールド日本候補生に向けた講演会など、美や健康に特化した分野をフィールドに様々な活動を行なっている。
「食を通して心と身体を豊かにし、人と地域がつながる生き生きとした社会を実現する」を理念に掲げ2013年に、株式会社アイ・フィールドを設立、代表を務める。
各地域で野外レストランを開催する「DINING OUT」の食材TEAMや、ファッションブランドのプロジェクトに中心メンバーとして参画。
また、地域食材のPR、「健康」や「美容」に特化した商品開発プロデュース、ブランディング、コンセプト設計、食品衛生、販売促進プロモーション、研修企画運営等に携わっている。GRØNの商品開発では栄養面での監修を担当。消費者の健康に、より効果的に取り入れる方法を提案している。
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