キレート作用とは?ミネラルの吸収と食事の組み合わせ方 〜栄養士のColumn Vol.171
鉄分を意識しているのに、なかなか実感につながらない。カルシウムのサプリメントを飲むと、お腹が張る。亜鉛を空腹時に摞ると、ムカムカしてしまう。
そんな経験があるとしたら、見直したいのは栄養素の「量」だけではありません。
大切なのは、栄養素の性質や、ほかの食品との組み合わせにも目を向けることです。
そこで知っておきたいのが、生化学の分野で使われる「キレート」という仕組みです。
キレートは、ミネラルなどの金属イオンが特定の分子と結合する現象を指します。
食品に含まれる成分の組み合わせによっては、ミネラルの溶けやすさや吸収に影響を与えることがあります。
今回は、キレート作用の基本的な仕組みから、ビタミンCやクエン酸の働き、タンパク質と植物素材を組み合わせた食事の考え方まで解説します。

ミネラルは、体に欠かせない栄養素
カルシウム、鉄、亜鉛、マグネシウム。これらは、体内で十分な量を合成できない必須ミネラルです。
それぞれ、体内で異なる役割を担っています。
- カルシウム:骨や歯の形成、筋肉の収縮などに関わる
- 鉄:赤血球のヘモグロビンなどの構成成分となり、酸素の運搬を支える
- 亜鉛:味覚や免疫機能、さまざまな酵素の働きに関わる
- マグネシウム:エネルギー代謝や神経・筋肉の正常な働きに関わる
どれも健康を維持するために欠かせない栄養素ですが、食事から摂った量が、そのまますべて体内に吸収されるわけではありません。
ミネラルの吸収率は、ミネラルの種類や化学的な形、摂取量、体内の栄養状態、ほかに一緒に食べる食品などによって変わります。
また、サプリメントは製品によって含有量や形状が異なり、一度に多く摂ると、種類や量によっては吐き気や胃の不快感、便秘、下痢などが起こることもあります。
「不足しているかもしれないから、たくさん摂る」という考え方だけでなく、日々の食事全体を見直し、必要な栄養素を適切に摂ることが大切です。

キレート作用とは?ミネラルと分子の結びつき
「キレート(chelate)」という言葉は、ギリシャ語で「カニのはさみ」を意味する言葉に由来します。
アミノ酸や有機酸などの分子が、金属イオンを複数の結合点でつかむ構造が、カニのはさみに似ていることから名づけられました。
このように金属イオンと分子が結びついてできる構造は、「錯体」と呼ばれます。
ミネラルが特定の分子と結びつくと、周囲の環境や結合する成分によっては、消化管内での溶けやすさや、ほかの成分との反応性が変化します。
その結果、ミネラルの吸収や体内での利用に影響が生じる場合があります。
ただし、キレート化すれば、どのミネラルでも必ず吸収率が高まるわけではありません。
効果はミネラルの種類や結合する成分、製剤の形状などによって異なります。
また、食品中のミネラルがすべてキレート化されているわけでもありません。
キレート作用は、栄養素の吸収を考えるうえで知っておきたい仕組みのひとつ。
特定の成分だけに注目するのではなく、食事全体の組み合わせを考えることが重要です。

ビタミンCとクエン酸は、ミネラルの吸収にどう関わる?
食品に含まれるビタミンや有機酸のなかには、ミネラルの吸収に関わるものがあります。
代表的なのが、ビタミンCとクエン酸です。
ビタミンCは、植物性食品に含まれる鉄の吸収を助けます。
鉄には、主に動物性食品に含まれるヘム鉄と、植物性食品などに含まれる非ヘム鉄があります。
非ヘム鉄は、食事に含まれるほかの成分の影響を受けやすく、ヘム鉄と比べて吸収率が低い傾向があります。
そこで役立つのがビタミンCです。
ビタミンCは、非ヘム鉄を吸収されやすい形に保つ働きがあり、植物性食品からの鉄の吸収を助けます。
例えば、次のような組み合わせが考えられます。
- 豆類や青菜の料理に、レモンや柑橘類を添える
- 鉄を含む穀物や豆類と、ビタミンCを含む野菜を一緒に食べる
- 植物性食品を中心とした食事に、いちごやキウイなどの果物を取り入れる
特別なサプリメントを追加しなくても、普段の食事の組み合わせを工夫することで、栄養素の利用を助けられる場合があります。

クエン酸などの有機酸も、ミネラルの溶けやすさに関わる
レモンや柑橘類などに含まれるクエン酸も、ミネラルと相互作用する成分のひとつです。
クエン酸などの有機酸は、ミネラルと結合することで、その溶解性や化学的な状態に影響を与えることがあります。
ただし、その影響はミネラルの種類や食品の組成などによって異なり、すべてのミネラルの吸収を一律に高めるわけではありません。
日々の食事では、特定の成分の働きだけを期待するよりも、さまざまな食品を組み合わせることを意識してみましょう。
タンパク質は、体をつくる土台になる
タンパク質というと、筋肉をつくる栄養素という印象が強いかもしれません。
しかし、タンパク質から分解されてできるアミノ酸は、筋肉だけでなく、酵素やホルモン、血液、皮膚、髪など、体を構成するさまざまなものの材料になります。
また、一部のアミノ酸やペプチドには、ミネラルと結合する性質があります。
こうした結合は、食品中や消化管内でのミネラルの状態に関わることがあります。
ただし、タンパク質を摂れば、すべてのミネラルの吸収率が高まるというわけではありません。
ミネラルとの相互作用は、タンパク質の種類や食品の組成などによって異なります。
大切なのは、ミネラルだけ、タンパク質だけというように、単一の栄養素に偏らないことです。
豆類、穀物、野菜、果物などを組み合わせることで、タンパク質やビタミン、ミネラル、食物繊維など、さまざまな栄養素を摂ることができます。
体は、一つの栄養素だけで成り立っているわけではありません。
食事全体のバランスを整えることが、健やかな毎日を支える基本になります。

単一の成分より、植物素材の組み合わせを大切に
GRØNのプロテインブレンドは、植物性タンパク質をベースに、さまざまな植物素材を組み合わせています。
「グリーンモンスター」には、モリンガ、よもぎ、熊笹、抹茶などを。「レッドヒート」には、ビーツ、マカ、クコの実などをブレンド。
それぞれの素材の特徴を活かしながら、植物性タンパク質と多彩な植物素材を一杯で取り入れられるように設計しています。
もちろん、プロテインをシェイクすることで、含まれるミネラルがすべてキレート化されるわけではありません。
また、特定のミネラル不足を治療するものでもありません。
それでも、タンパク質だけでなく、さまざまな植物素材を日々の食事に取り入れるという考え方は、幅広い食品から栄養を摂ることを大切にする食習慣につながります。

朝食を軽やかに整えたいとき。
忙しい日の食事に、植物素材を取り入れたいとき。
サプリメントを増やす前に、まずは毎日の食べ方を見直したいとき。
そんな場面で、GRØNのプロテインを食事の一部として取り入れてみてはいかがでしょうか。
栄養をただ「足す」のではなく、食事全体の組み合わせを考えること。
さまざまな食品をバランスよく取り入れ、自分の体に必要な栄養を意識することが、日々のセルフケアにつながります。
たくさん摂ることだけを目指すのではなく、何を、どのように組み合わせるか。
その小さな工夫から、毎日の食習慣を見直してみましょう。
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栄養士・食育指導士・食の6次産業化プロデューサーlevel4
石原綾子
ヘルスケア分野での栄養指導、アグリビジネスのプロフェッショナル。
ミスワールド日本候補生に向けた講演会など、美や健康に特化した分野をフィールドに様々な活動を行なっている。
「食を通して心と身体を豊かにし、人と地域がつながる生き生きとした社会を実現する」を理念に掲げ2013年に、株式会社アイ・フィールドを設立、代表を務める。
各地域で野外レストランを開催する「DINING OUT」の食材TEAMや、ファッションブランドのプロジェクトに中心メンバーとして参画。
また、地域食材のPR、「健康」や「美容」に特化した商品開発プロデュース、ブランディング、コンセプト設計、食品衛生、販売促進プロモーション、研修企画運営等に携わっている。GRØNの商品開発では栄養面での監修を担当。消費者の健康に、より効果的に取り入れる方法を提案している。
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