COLUMN / RECIPE

12 / 07 / 2022

サウナと食事・サウナで“ととのう”ことについて〜栄養士のColumn Vol.78

日本では第3次サウナブームの到来といわれています。

著名人やインフルエンサーなどによるサウナ巡りがSNSに投稿されるようになり、人気が拡大。
サウナに入り「ととのう」というワードが流行し、サウナ活動を指す「サ活」や全国のサウナを巡る旅「サ旅」、サウナで食べる「サ飯」など、サウナに関するフレーズは枚挙にいとまがありません。

今回は、この再流行しているサウナと食をテーマにお話ししたいと思います。

サウナで“ととのう”ということ

まず、“ととのう”ということは、心身がどういう状態を指すのでしょうか。

“ととのう”とは、サウナ→水風呂→外気浴休憩を交互に行う「温冷交代浴」により得られるリラックス感覚、トランス状態のことを指します。脳の状態を調べると、ととのっている時は、瞑想をしている時に似ているといわれます。
一般的に、サウナ→水風呂→外気浴休憩を1セットとし、3セット行うことで、ととのう状態が促進するとされます。

 

“ととのう”の正体は、自律神経とホルモンの働き

“ととのう”感覚に大きく影響するのが、自律神経とホルモンの働きです。
自律神経は、活動時に優位になる「交感神経」と、休息時に優位になる「副交感神経」があり、私たちの体はこれを無意識に切り替えて血流や呼吸、睡眠や体温などをコントロールしています。

サウナのサイクル、サウナ→水風呂→外気浴休憩を何回か繰り返す温冷交代によって、血流や血圧、自律神経を刺激します。

サウナに入り、体が温まることで自律神経の交感神経が活発化し、血中のアドレナリン濃度も上がります。
さらに水風呂で交感神経を優位に働かせて、体がストレスフルの状態なると脳内からβエンドルフィンセロトニンオキシトシン等のホルモンが分泌されます。

β-エンドルフィン…鎮痛効果や気分を高揚させる効果
オキシトシン…ストレスを緩和・優しい気持ちになれる効果
セロトニン…心を安定させる効果

感情を整える3つのホルモン 〜栄養士のColumn Vol.65

外気浴等の休憩をすることで、切り替えの早い自律神経は、交換神経が優位の状態から、一気に副交感神経が優位な状態となります。

サウナ(交感神経優位)→水風呂(交感神経優位)→外気浴休憩(副交感神経優位)

自律神経はすぐに切り替えられますが、分泌されたホルモンは消滅するまで2分ぐらい残存していると言われます。
このホルモンと副交感神経系の高まりが互いに増強し合う状態になり、この瞬間に人は心地よさを感じ、ととのうという感覚を覚えるのです。

自律神経のはなし 〜栄養士のColumn Vol.36

 

サウナによって得られる効果

サウナに入ると、血流が良くなり、血液の循環によって全身の細胞に酸素と栄養が運ばれ、不要な老廃物を排出して代謝がよくなります。他にもサウナによってもたらせる効果は下記があげられます。

・美肌効果
・肩こり・腰痛、冷えを予防・改善
・疲労回復
・免疫力Up
・胃腸の働きが活発になる
・睡眠の質が高まる

サウナに入るときの注意

心身ともに良いとされるサウナですが、人によっては体に大きな負担をかける場合があるので注意が必要です。

注意すべきことに、外気温の急激な変化で血圧が大きく変動することによるショック=ヒートショック現象があります。サウナと水風呂の温度差による影響を受けやすい可能性があるので、心臓や血圧に不安のある方は無理をしないことが重要です。

健康な方でも、いきなりサウナに入るのではなく、ぬるま湯のお風呂2~3分つかり、体を温めてからサウナに入ることをおすすめします。血圧の急上昇を防ぎ、安全につながります。

他にも下記の注意点があります。
・飲酒後にサウナに入らないこと
・満腹の状態でサウナに入らないこと
・水分補給はこまめにおこなうこと
・体調に異変を感じたら通常の室温で座るか横になること

サウナで大切な水分補給

サウナでは、水分補給がとても大切です。
体の水分が失われると、血管中の水分も失われ血液のドロドロ度が高まり、体に大きな負担をかけます。
サウナに入る前、セットの合間、サウナ後は必ず水分摂取をしましょう。
脱水予防だけでなく、汗がよく出てスッキリ感もUPします。

サウナに適している飲みものは、ミネラルウォーターやスポーツドリンク(できれば常温)です。
サウナ後は上記の他、ココナッツウォーターや野菜ジュースなどもおすすめです。ただし、冷たすぎる飲み物は内臓を冷やしてしまうので注意してください。

逆に控えた方が良い飲みものは、利尿作用のあるアルコール類、コーヒー、紅茶、緑茶。サウナ前後は控えましょう。

次にサウナでの食事、サウナ飯について見ていきましょう。

サウナ前の食

サウナ直前に食事をしたり、飲酒後にサウナに入ることは、消化不良や体調の悪化に繋がりますので避けた方が良いです。
サウナ前にどうしても食事をとりたい場合、1〜2時間の休憩を取ってからにしましょう。
脂質が少なく食物繊維が少ない食べ物=消化の良い食事(例えば、お粥や豆腐、野菜スープ、オムレツ等)、植物性のプロテインを活用するのもおすすめです。

サウナ後の食

大量の汗をかくと、ミネラル(ナトリウム、カリウムなど)や水溶性ビタミン(B1、B2、B6、B12、C など)が汗とともに排泄されます。これを補うために、ビタミン・ミネラルが豊富な野菜や果物などを選ぶようにしましょう。
また、肉や魚、大豆等のたんぱく質も意識して、バランスの良い定食系メニューをチョイスしてください。

サウナの後は五感が研ぎ澄まされている状態で、一段と食事を美味しく感じる方も多いはず。
汗を大量にかいた後なので、のど越しの良いビール、ラーメンやカレーなどついつい味が濃く塩分が高い食べ物、刺激的な食べ物を選びがちですが、健康にはあまり良くありません。

サウナ後は、胃腸の吸収率が上がっている状態。
そのため、サウナ後は出来るだけ、糖質・脂質・血糖値を上昇させやすい食べ物は避けた方が体に良いと言われています。

といっても我慢はストレスになります。
食べたいものを食べてもよいのですが、いつもの食事より野菜を多めにするとか、アイスはやめてヨーグルトにする、少量をゆっくり食べるなど、無理をしない範囲で工夫してみてください。

自分の心地よさを大切にしながら、無理をせず、適切な入り方をすることで、様々なメリットがあると言われているサウナ。
食事にも意識して、心と体をととのえてみてはいかがでしょうか?

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栄養士・食育指導士・食の6次産業化プロデューサーlevel4
石原綾子

ヘルスケア分野での栄養指導、アグリビジネスのプロフェッショナル。
ミスワールド日本候補生に向けた講演会など、美や健康に特化した分野をフィールドに様々な活動を行なっている。

「食を通して心と身体を豊かにし、人と地域がつながる生き生きとした社会を実現する」を理念に掲げ2013年に、株式会社アイ・フィールドを設立、代表を務める。
各地域で野外レストランを開催する「DINING OUT」の食材TEAMや、ファッションブランドのプロジェクトに中心メンバーとして参画。
また、地域食材のPR、「健康」や「美容」に特化した商品開発プロデュース、ブランディング、コンセプト設計、食品衛生、販売促進プロモーション、研修企画運営等に携わっている。GRØNの商品開発では栄養面での監修を担当。消費者の健康に、より効果的に取り入れる方法を提案している。

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