COLUMN / RECIPE

06 / 05 / 2022

感情を整える3つのホルモン 〜栄養士のColumn Vol.65

なんだか調子が悪い、だるい、やる気が出ない等の症状を感じる瞬間。
これから訪れる梅雨の季節は、こんな時間が増えるのではないでしょうか。

空を見上げると、雨が降り。
外に出ると湿度が高い。
気圧の低下から生じる、血管やリンパへの影響。
雨の恵みを感じる大切な季節である一方で
自律神経のバランスが崩れがちになり、血行不良や体調の不具合を感じる人も少なくありません。

心や体が不調なサインを感じやすい梅雨の季節。
こんな時期でも、体の中には幸福感を維持する脳内物質が存在しているので、食事や生活習慣を変えることで改善も見込めるのです。
今回は梅雨の時期を快適に過ごすための、感情を整える生活習慣と食事、それらが培う脳内物質のお話をしていきます。

感情を培う脳内物質・ホルモン

幸福感や気力には、恋愛や仕事、人間関係などの外的要因の影響も勿論ですが、体内で分泌されるホルモンの力が大きく影響します。

ホルモンのそもそもの語源は、「刺激する」という意味のギリシャ語。
甲状腺や膵臓、生殖腺などさまざまな場所で作られる化学物質であるホルモンは、それぞれが違う働きをもち、血液によって全身へと運ばれます。
様々な情報を伝達するホルモンは、血液を通して体をめぐり内臓や体の機能を整える役割を持ちます。

また神経細胞の間で情報を伝達する、「神経伝達物質」に属するホルモンも存在します。
これらのホルモンは、脳内で興奮や鎮静などの反応を引き起こし、不足すると抑うつ状態に陥る場合もあると言われています。
快感や心地よさを感じさせ、やる気、ポジティブ思考を引き起こし、ストレスを忘れさせ、心を安定させるホルモン。
これらを「幸せホルモン」と呼びます。

3つの「幸せホルモン」と、分泌させるためのポイント

「幸せホルモン」と呼ばれるのは、セロトニン、ドーパミン、オキシトシンという3種のホルモン。
これらは日々の分泌を心がけることが大切です。
それぞれの役割と分泌を促すためのポイントについてお話をしていきます。

1. セロトニン(心の安定をもたらすホルモン)
自律神経を整え幸福感をもたらす、幸せホルモンの代表格「セロトニン」
セロトニンは暴走する他の神経伝達物質を抑制することから、心を平常に保つことに役立ちます。

セロトニンの大部分は、消化管 (口腔、食道、胃、小腸、大腸、肛門) に存在します。
自律神経によって働きがコントロールされる腸は、「第2の脳」とも言われるほど精神状態へ影響するもの。
ストレスを抱える方やネガティブ思考の方、訳もなく悲哀感に襲われる方は、セロトニン不足による自律神経の乱れが原因となっている可能性があります。

またセロトニンは、睡眠を促すホルモンである「メラトニン」の原料にもなります。
睡眠障害を感じる方も、セロトニン不足を疑ってみてもいいかもしれません。
そんなセロトニンの分泌を促すための、心がけるべき生活習慣を紹介していきます。

セロトニンの分泌を促すライフスタイル
セロトニンのを分泌を活性化すべきタイミングは朝です。
その中でも、朝起きてすぐのタイミング・30分以内の分泌を心がけましょう。

まずは強い光を網膜が感じることで、セロトニンの分泌は活性化します。
そのため、朝起きたらすぐにカーテンを開けて室内に日光を取り入れましょう。
そのことで、睡眠中に減少していたセロトニンが活性化して、脳と身体を目覚めさせます。

他にも、歩行運動や食事の咀嚼、意識的な呼吸など。
一定のリズムをする運動も、セロトニンの分泌を活性化するのでお勧めです。

また、必須アミノ酸の一つトリプトファンを積極的にとることも、セロトニンの分泌を活性化することも効果的です。
トリプトファンをはじめとする必須アミノ酸は、体内では生成することができないので、食事から補うことしかできません。

トリプトファンが多く含まれる食品は、カツオ、マグロ、牛乳やチーズ等の乳製品。
納豆や豆腐等の大豆製品、ナッツ類やバナナ等が挙げられますが、プロテインやサプリメントの摂取もお勧めです。

またトリプトファンだけでなく、セロトニンへの合成に必要となる、以下の食材に多く含まれるビタミンB6・マグネシウム・ナイアシンも併せて摂取することが大切です。

ビタミンB6:唐辛子、米ぬか、にんにく、バジルなど
マグネシウム:あおさ、あおのり、寒天、わかめなど
ナイアシン:まいたけ、たらこ、コーヒー、かつおなど

また、これらの栄養素の積極的な摂取に加えて大切なのが、腸内環境を整えることです。
そのためには、善玉菌を増やし、体の有害物質や老廃物を排出する食物繊維*1や、ビフィズス菌や乳酸菌など、善玉菌*2自体が多く含まれる食品やサプリメントを摂取が必要となります。

*1) 食物繊維が豊富に含まれるもの
① 水溶性食物繊維(腸内細菌のエサになり、善玉菌を増やす)
大麦、ごぼう、らっきょうなどの野菜類、キウイフルーツ、パパイヤなどの果物類、わかめ、こんぶなどの海藻類等
② 不溶性食物繊維(腸内で水分を吸収して膨らみ、便のカサを増やすことで排便を促す)
切り干し大根、モロヘイヤ、かぼちゃなどの野菜類、しいたけなどのきのこ類、大豆などの豆類等

*2)善玉菌が豊富に含まれるもの
味噌、醤油、ヨーグルト、チーズ、漬物、日本酒、納豆、キムチ 等

最近ではセロトニンの分泌量を増幅するためにと、オイル等のCBD製品を服用する方も増えてきました。
CBDは、大麻(ヘンプ)の種子及び茎から抽出された大麻特有の成分(CannaBiDiol=カンナビジオール)の略語で、大麻草の種子や茎から抽出された成分を指します。
オイルや電子タバコ用のリキッドタイプ、最近ではタブレット状のサプリメントなど幅広い商品が展開されています。
ただ大麻の主成分である、THCには陶酔作用や向精神作用があり、日本では所持が禁止されているものなので、内容をよく理解した正しい知識を持った人や店からの情報を心がけながら購入しましょう。

2. ドーパミン(意欲がみなぎるホルモン)
さまざまな行動の原動力になる「やる気」を促し、幸福感を高める「ドーパミン」
感情、記憶、思考、理性、意識、理解などの心の機能に関与していると言われ、達成感や快感、感動などにも影響するホルモンです。
ドーパミンが不足すると、無気力になるだけでなく、無感動や無関心なども引き起こすと言われています。

そんなドーパミンの分泌を促すための、心がけるべき生活習慣を紹介していきます。

ドーパミンの分泌を促すライフスタイル
ドーパミンは、認められたり褒められたりすると分泌されることが特徴です。
そのためにも1日のはじまりに、簡単な目標をたててみましょう。
それらを達成できた自分をほめてあげることで、ドーパミンが分泌されます。

瞑想を行うことも一つの効果的な方法です。
集中力や記憶力向上、幸福感を高める作用があると言われ、昨今ではアスリートのトレーニングプログラムの中にも積極的に取り入れられています。

またドーパミン生成に必要な栄養素を食事に取り入れることも大切です。
セロトニンに対するトリプトファン同様、ドーパミンには必須アミノ酸のフェニルアラニンと非必須アミノ酸(体内で生成できるアミノ酸)のチロシンが合成されて作らます。

フェニルアラニンやチロシンが豊富に含まれる食品として挙げられるのものは、牛肉、豚肉、大豆、アボカト、バナナ、アーモンド、卵、コーヒー、緑茶、ヨーグルト等。
これらを毎日の食事の中で意識的に摂り入れることで、ドーパミンの分泌は活性化します。

ちなみに、お酒を飲むと気分が高まり、会話が苦手な人でも話ができるようになることがありませんか。
実は、これもドーパミンが分泌されるからと言われています。

しかし注意が必要なのは、その感覚に体に耐性がついてしまうこと。
その時の高揚感に体を近づけるために飲酒量が増えていき、最終的にはお酒に依存してしまう可能性があります。
お酒が増えると、眠りが浅くなり睡眠の質も低下するので、あくまで適量を心がけての飲酒をお勧めします。

3. オキシトシン (優しい気持ちになれるホルモン)
不安感や恐怖心を和らげて、優しい気持ちにさせてくれる「オキシトシン」
幸福感や安らぎを与えることから、ストレス軽減や免疫力アップも期待できるといわれています。

もともとは、出産や育児の際に分泌されるホルモンとして知られていましたが、最近の研究では母子間以外でも分泌されることが分かってきたそうです。
別称: 愛情ホルモン、思いやりホルモンなどとも呼ばれており、社交性や認知能力を高めるともいわれています。

そんなオキシトシンの分泌を促すための、心がけるべき生活習慣を紹介していきます。

オキシトシンの分泌を促すライフスタイル
オキシトシン分泌の鍵を握るのはスキンシップ。
握手をする、手をつなぐ、抱き合うなど、近しい間柄の人とのスキンシップにより、分泌が高まると言われています。
また、相手を思いやって何かを分け与えること、助けること、褒めることなどでも、オキシトシンの分泌は高まります。

ビタミンC、ビタミンD、マグネシウム、タウリン、カフェインなどの摂取でオキシトシンの体内での合成は高まるといいますが、家族や友人、恋人等と食事をすることが効果的と言われています。
家族団らんなど、心を通わせながら食事をするだけでも有意義であり、関係を大事にしたい人と一緒に過ごすことがポイントとなることを頭に置いてください。

以上、今回は3つの幸せホルモンを基に、梅雨の季節を乗り切る方法を紹介しました。
「セロトニン」が心と身体の健康の土台となり、「オキシトシン」で人との繋がりを感じ、「ドーパミン」が成功や達成感という幸せを生みだすというサイクル。
この3つの幸せホルモンを意識しながら、日々の生活の過ごし方や食習慣を心がけてみて頂ければ幸いです。

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栄養士・食育指導士・食の6次産業化プロデューサーlevel4
石原綾子

ヘルスケア分野での栄養指導、アグリビジネスのプロフェッショナル。
ミスワールド日本候補生に向けた講演会など、美や健康に特化した分野をフィールドに様々な活動を行なっている。

「食を通して心と身体を豊かにし、人と地域がつながる生き生きとした社会を実現する」を理念に掲げ2013年に、株式会社アイ・フィールドを設立、代表を務める。
各地域で野外レストランを開催する「DINING OUT」の食材TEAMや、ファッションブランドのプロジェクトに中心メンバーとして参画。
また、地域食材のPR、「健康」や「美容」に特化した商品開発プロデュース、ブランディング、コンセプト設計、食品衛生、販売促進プロモーション、研修企画運営等に携わっている。GRØNの商品開発では栄養面での監修を担当。消費者の健康に、より効果的に取り入れる方法を提案している。

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