COLUMN / RECIPE

07 / 17 / 2020

アミノ酸とその役割 〜栄養士のColumn Vol.20

よく聞く言葉、アミノ酸。
プロテイン (タンパク質)を構成するものがアミノ酸です。
今回はそのアミノ酸についてをお話したいと思います。

人間の身体は約60%が水分で、約20%がタンパク質でできています。

タンパク質は、主に筋肉や消化管、内臓、血中のヘモグロビン、髪や皮膚のコラーゲンなど、カラダの重要な組織をつくるだけではなく、カラダを動かす生命活動のほとんどを司っています。
小さなお子様からお年寄りまで、最も大切な栄養素です。

私たちの生命を維持したり体を構成しているタンパク質は、20種類のアミノ酸が集まってできています。
生命の源とも呼ばれているアミノ酸は、地球上に存在する栄養素のうち、最も古いもの。自然界には500種類ほどのアミノ酸が存在していると言われています。

アミノ酸が不足すると、疲れやすくなったり、免疫力低下で風邪を引きやすくなったり、シミや肌荒れが目立つように。

また、集中力がなくなる、運動しても脂肪が燃焼しにくくなる、貧血やめまいを起こしやすくなる、
筋肉トレーニングをしても筋力アップしないなど、私たちの生活において良くないことがたくさん起こってしまいます。

お肉やお魚、豆類などのたんぱく質を食べると、体の中で20種類のアミノ酸に分解され、再び必要なたんぱく質に組み換えられます。

20種類のアミノ酸のうち、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、アラニン、グリシン、グルタミン、グルタミン酸、システイン、セリン、チロシン、プロリンの11種類のアミノ酸は他のアミノ酸から体内で合成して不足を補うことができますが、残りのバリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、ヒスチジンの9種類は食事から摂取することが不可欠です。

このように体内で合成できるものを「非必須アミノ酸」、合成できないものを「必須アミノ酸」と呼んでいます。
体を構成しているたんぱく質は、日々、分解と合成を繰り返しているのです。

このため、毎日アミノ酸の摂取が必要となります。不足すると、筋肉量の低下、病気への抵抗力の低下などを招いてしまうことも。
アミノ酸はどんなものが多いのかということを考えるより、タンパク質の摂取こそがアミノ酸の補給につながることになりますので、動物性の食材(肉・魚介・卵・乳製品)や植物性の食材で(大豆製品等)のタンパク質を意識して摂取することがポイントになります。

必須アミノ酸と非必須アミノ酸、その一つ一つの特徴についてをまとめてみました。

■必須アミノ酸■

1. バリン
*BCAA(分岐鎖アミノ酸)のひとつ。筋肉の強化に効果的なアミノ酸。アンモニアの代謝改善、肌のハリを保つ効果も期待ができます。
疲労回復、免疫力を高める、肝機能UP、美肌ケア。

*必須アミノ酸のうち、分岐する構造を持つバリン・ロイシン・イソロイシンの3つの総称を分岐鎖アミノ酸=BCAAと言います。BCAAは筋肉で代謝されるアミノ酸で、「筋肉をつくる」「疲労を抑える」と言われており、運動中の筋肉消耗を低減させることが期待されています。

2. ロイシン
BCAA(分岐鎖アミノ酸)のひとつ。筋肉の形成を促進して筋肉の損失を防ぐ効果のほか、肝臓の機能を強化させます。
筋肉を強化、ストレスケア、肝機能UP、健やかな髪に。

3. イソロイシン
BCAA(分岐鎖アミノ酸)のひとつ。
筋肉の強化や肝機能の向上効果のほか、血管の拡張や体の成長を促進する働きがあります。
疲労回復、肝機能UP、集中力UP、糖尿病予防。

4. スレオニン(トレオニン)
歴史上最後に発見されたアミノ酸で、動物性タンパク質に多く含まれます。
飼料用の穀物に添加され、家畜の飼料に不足しがちな必須アミノ酸を補って栄養価を上げる役割もしています。
新陳代謝UP、肌や髪にハリを出す、脂肪肝の予防。

5. メチオニン
硫黄を含んだ含硫アミノ酸で、不足すると抜け毛やむくみを起こしやすくなります。
肝機能を高めたり、アレルギーの原因となるヒスタミンを抑える働きがあります。
肝機能サポート、アレルギー症状を緩和、脂肪の蓄積を防ぐ・ヘアケア効果。

6. フェニルアラニン
脳と神経細胞間の信号を伝達する役割を持つノルアドレナリンやドーパミンなど神経伝達物質として働きます。
注意力・集中力UP、ストレスケア、記憶力UP。

7. トリプトファン
牛乳から発見されたアミノ酸。ビタミンB6・ナイアシン・マグネシウムのサポートを得て、トリプトファンから幸せホルモン「セロトニン」が合成されます。
睡眠サイクルの正常化、集中力・記憶力UP、食欲増進、疲労回復。

8. リジン
体のたんぱく質の組み立てに必要不可欠なアミノ酸。
肉などの動物性たんぱく質に多く含まれ、脂肪燃焼に必要なカルニチンの合成原料でもあります。
疲労回復、集中力UP、肝機能UP、ヘアケア効果。

9. ヒスチジン
大人になると体内で合成できるようになりますが、子どもの間は合成できないので、子どもの発育期に欠かすことのできないアミノ酸。
体内で成長に関するほか、神経機能補助の役割を果たしています。
成長促進、ダイエットサポート、神経機能サポート。

この9種類のアミノ酸をバランス良く含む食品を「良質タンパク質」といい、肉、卵、魚介類、牛乳などがあります。
穀類や野菜はバランスにバラつきがありますが、いろんな食品を食べあわせることで、偏りを補うことができます。

■非必須アミノ酸■

1.アルギニン
アルギニンは、子供限定の必須アミノ酸。大人はアルギニンを体内で合成できますが、子供の場合は必要十分の量を合成できません。
成長ホルモンを合成するアミノ酸です。
免疫力UP、血流を改善、成長ホルモンの分泌を促す、肌の保湿。

2.アスパラギン
20種類のアミノ酸の中で最初に発見されたアミノ酸。
アスパラガスの芽から発見されたためこの名前になっています。
有害なアンモニアを体外へ排出し、中枢神経系を保護する働きがあります。
持久力UP、筋力アップ、有害なアンモニアを排出。

3.アスパラギン酸
アスパラガスに多く含まれるアミノ酸の一種で、カリウムやマグネシウムに結びつくことで、それらの栄養素を細胞内に取り込みやすくする働きがあります。
疲労回復効果、代謝UP、アンモニアの解毒作用。

4.アラニン
すべてのたんぱく質に豊富に含まれるアミノ酸。
糖質代謝に重要な働きをするアミノ酸。
肝臓での糖質の合成原料となるアミノ酸で、生体のエネルギー生成に重要な役割を果たしています。
肝機能改善、長時間の運動をサポート、肌の保湿効果。

5.グリシン
タンパク質を構成するアミノ酸の中で最も単純な構造をしているアミノ酸でゼラチンから発見されました。
皮膚のコラーゲン中の3分の1を占めています。
新陳代謝UP、肌のハリと弾力を保つ、睡眠の質を改善、抗菌作用。

6.グルタミン
体に最も多く含まれるアミノ酸で、主に筋肉内に豊富に存在しています。
腸の働きをサポート、免疫力UP、筋力UP、アルコール代謝の促進。

7.グルタミン酸
小麦のタンパク質であるグルテンから発見されたアミノ酸。
日本で最初に発見されたうま味物質として調味料などに活用されています。
リラックス成分であるGABAを生成します。
疲労回復、デトックス、脂肪の蓄積を抑える、肌の水分保持。

8.システイン(シスチン)
成人では非必須アミノ酸ですが、乳幼児にとっては必須アミノ酸。
硫黄を含んでいる含硫アミノ酸の1つであり独特のにおいを持ちます。
ケラチンを構成するアミノ酸として毛髪や爪に多く含まれています。
新陳代謝・体力UP、疲労回復、美肌・美髪効果

9.セリン
シルクのプロテインから発見されたアミノ酸。
生体内でアミノ酸や、多くの生体成分の原料となります。
皮膚の潤いを保つ天然保湿因子の中で最も多いアミノ酸であることも特徴的です。
美肌・美白効果、良質な睡眠、脳の老化を防ぐ。

10.チロシン
チーズから発見されたアミノ酸。
甲状腺ホルモンや、神経伝達物質であるノルアドレナリンやドーパミンの前駆体であり、また皮膚のメラニンなどの合成原料でもあります。
集中力UP、ストレスケア、細胞の老化抑制、白髪予防。

11.プロリン
牛乳やチーズに含まれているタンパク質から発見されたアミノ酸。
コラーゲンの主要な構成成分のひとつ。
関節痛の予防、肌の弾力やハリを保つ美肌効果、脂肪燃焼効果。

食品で必須アミノ酸のバランスを評価したものを「アミノ酸スコア」と呼んでいます。
必須アミノ酸に不足がない食品はアミノ酸スコアが100、不足していればこの数値は低くなります。

ちなみに和食にはこのアミノ酸のバランスが上手に配合されているといわれています。
食生活にバランスよくアミノ酸を摂取することが難しそうだなと思う方は、サプリメントなどで特定のアミノ酸を補うこともおすすめです。

体を健康に保つために必要なタンパク質・プロテイン。
そんなプロテインだけでなく、アミノ酸のことも気にしてみると、体のパフォーマンスや日頃の悩みが、少しいい方向に向くかもしれません。

以上、今日はアミノ酸のお話でした。

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栄養士・食育指導士・食の6次産業化プロデューサーlevel4
石原綾子

ヘルスケア分野での栄養指導、アグリビジネスのプロフェッショナル。
ミスワールド日本候補生に向けた講演会など、美や健康に特化した分野をフィールドに様々な活動を行なっている。

「食を通して心と身体を豊かにし、人と地域がつながる生き生きとした社会を実現する」を理念に掲げ2013年に、株式会社アイ・フィールドを設立、代表を務める。
各地域で野外レストランを開催する「DINING OUT」の食材TEAMや、ファッションブランドのプロジェクトに中心メンバーとして参画。
また、地域食材のPR、「健康」や「美容」に特化した商品開発プロデュース、ブランディング、コンセプト設計、食品衛生、販売促進プロモーション、研修企画運営等に携わっている。GRØNの商品開発では栄養面での監修を担当。消費者の健康に、より効果的に取り入れる方法を提案している。

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