沖縄の「ぬちぐすい」生まれ育った土地の文化を再発見する。Vol.1 「ハッピーモア市場」 続
ハッピーモア市場の多和田さんに、創業からこれまでのお話をお聞きしたあとは、売り場のすぐ横にある、薬草畑を案内していただくことに。
売り場の真横にこんな景色が広がっているなんて、ハッピーモア市場は面白いなぁ。
普段はお客さんが立ち入ることのない薬草畑ですが、今回は多和田さんがひとつひとつ説明してくれました。畑の奥でぐーんと背を伸ばした葉は、在来のフーチバー(ヨモギ)。もともと沖縄のフーチバーは本土のものよりもずっと葉っぱが大きいのですが、ここにあるものは、さらに大きくてしっかりしています。
「道の脇に生えている草の、多くは薬草なんだよ。雑草だと思っているでしょう。本当は食べられるものばかり」
たしかに、この畑で見る草たちは、どこかで見たことがあるような形で、教えていただいた薬草には、聞いたことのある名前が多くありました。
道端にも生えているシビランは、葉っぱを湯がけばほうれん草のように食べることができます。
「沖縄ではキャベツやじゃがいも、日常的に使われる野菜のほとんどを県外から仕入れているけれど、島にも食べられるものはいっぱいあるんですよ」
ハッピーモアでは、薬草をもっと身近に感じて欲しい、味わって欲しいという思いから、3種類のスムージーを提供しています。
子供にでも飲みやすく、甘さのある「野菜スムージー」
薬草の風味がほどよく感じられる「薬草スムージー」
一度飲むと、その複雑な苦味に、やみつきになってしまう「SP薬草スムージー」
先ほど紹介したシビランは、全てのスムージーに使われています。
「野菜スムージー」はバナナやパイナップルが入っていることで特段、甘く飲みやすいのですが、「上級者向け」と書いてあるSP薬草スムージーも、意外と飲みやすいのが驚きです。それぞれに違ったおいしさがあるので、気分によって飲み分けたくなります。
ハッピーモア市場では、スムージーを目当てに来る人も見かけました。それくらい魅力的なのです。
市場の外でも、多和田さんの薬草への知識は活きています。高血圧の友人たちには、ヨモギに熱湯をかけただけの「ヨモギ茶」を飲むように勧めるんだとか。薬草スムージーといい、普段料理に取り入れることのない沖縄の薬草も、日常への取り入れ方が豊富にあることがわかります。
今回、多和田さんからお話を伺いながら、沖縄の薬草は「ぬちぐすい」そのものだと感じました。身体にいい、しかも手に入りやすい(道端や畑に生えています)ものですが、わたしを含め、薬草の種類や、それが食べられるものであることを知っている人は少ないのが現状です。
流通が発展した昨今は、全国各地のスーパーで同じ食材が手に入ります。珍しい外国産の野菜や、鎌倉や京都の伝統野菜が注目されやすいものですが、沖縄だけでなく、日本中の各地方には、地元の人にも十分に知られていない沢山の食材が埋もれているはずです。
身近なところに、眠っているかもしれない食材のことを、もっと知っていきたい。多和田さんとのお話を通して、そう感じることができました。
また、ハッピーモア市場に遊びに行きます。